新入生、荒木尊史さんのQさん経営学実践奮闘記

第52回
社内派閥闘争にやぶれたS君の話し

前回、中国の社内派閥について書きましたが、
その続きとしまして
実際に当社で起こった派閥闘争による
失脚のケースをご紹介します。

大勢の派閥リーダー経験者が
幹部候補として当社へ入社する中、
S君は一般の店員から幹部まで上り詰めた稀なケースであり、
学歴や都市戸籍がない社員達の憧れの的でもありました。
S君は非常に熱血漢で、頭の回転も非常に速い青年でした。
当時の上司がS君を大変気に入り、
その絶大なバックアップを元に
副主任、主任、副マネージャーと
短期間でどんどん地位を上げていき、
ついには一部署のリーダーにまで上り詰めました。

そんなS君の様子がおかしくなってきたのは、
彼が場所長に就任してからです。
直属の上司がいた頃は、一生懸命仕事をしていたようですが、
自身が場所長となり、部下を指示する立場になった途端、
部下に厳しく自身に甘い、彼の悪い部分が前面に出てしまい、
良い部分であった情熱的で熱血漢ゆえの行動力も
すっかり影を潜めてしまいました。
そのうち、彼の派閥からの離脱者が増えていき、
悪い噂がどんどん社内に流れてくるようになりました。
私もS君の長所をよく知っている分、
このまま終わってしまうのは会社にとっても損失であると思い、
話し合いの場を度々持ちました。
その度にS君は涙を流して自身の改善を誓うのですが、
状況は良くなるどころか悪くなる一方です。

S君の運命を決定付けたのは、
彼を今まで支援し続け、幹部の地位まで引き上げた
力のある幹部から見限られたことでした。
後ろ盾を失ったS君を怖がる社員はすでに誰も無く、
S君が会社を辞めるか、
さも無くば部署のスタッフ全員が辞めるか、
という事態にまで発展してしまいました。
私は“S君が辞めなければ我々が辞める”
という提案が許せなかったので、
辞めたいスタッフには辞めてもらうよう指示を出し、
一時は収束するかに見えました。

しかし、部署を混乱に陥れて
業務に支障を来たしたのは事実であり、
改善の見込みが立たなかった為、
最終的には他部署への降格異動の処置をとりました。

一度失った力は大きく、
その後、S君が復権することは無く、
残念ながら話し合いの結果、会社を去ることになりました。


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2007年6月26日(火)

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