第79回 生前贈与のための新相続税制
新制度を選択して成功「窮地に立った子どもを救済」
勤め先の会社の業績が悪化してリストラされた、
あるいは給与カットされた・・・
この不況下にあっては珍しいことではありません。
そうでなくとも、住宅ローン返済に
子どもの教育費用が重なる30代後半から40代は
人生で最もお金がかかる世代です。
不幸にして息子がそんな境遇に陥ってしまった、
親としては資金的な余裕があることから、
せめて息子の住宅ローンを肩代わりしてやりたい・・・。
こんなケースでは、新制度の利用をぜひご検討ください。
2500万円までの贈与なら無税、
2500万円を超える場合でも
超過部分の20%の税負担で
子どもに贈与することができます。
住宅ローンは3000万円あるのだが、
生活が苦しい子どもを援助するのに
たとえ20%でも税金を納める余裕はない。
この場合は2500万円を贈与で、
残る500万円は貸付金で、とすればOKです。
ただし貸付金である以上、
最低限の金利をつけた上、
貸付期間、支払期日、支払方法を決めておいてください。
「金銭消費貸借契約書」または「借用証」を作り、
決められた条件にしたがって
きちんと返済してもらうようにしないと、
税務署から3000万円の贈与が行われたとみるべきでは、
と疑われることになります。
金利は一概に何パーセントが適正とは言えませんが、
同じ条件で銀行に支払う金利か、
それより少し低い程度の金利にしておくと良いでしょう。
なお、資産家で相続税が心配という方は、
息子名義の住宅を
親が買い取ってあげる方法も一案です。
子どもは親から受け取った売却代金で
住宅ローンを返済、
父親所有になった住宅は
そのまま息子が自宅として利用します。
その後親に家賃を支払うかどうかは自由、
税務署から家賃分は贈与であるとして
課税されるようなことはありません。
ただし、親子間の売買価格は
適正な時価とする必要があります
(売買価格が時価より高いと認定されたら
差額について贈与税が課されます)。
実行なさる場合には、
地元の不動産業者に価格を査定してもらうか、
高額な物件の場合には
専門家に相談されることをお勧めします。
執筆:税理士法人山田&パートナーズ 税理士 佐伯草一
監修:公認会計士 山田淳一郎
|