プロが教えます!公認会計士
山田淳一郎さんのトクする税金の話

第71回 生前贈与のための新相続税制
景気対策
「子どもの自宅購入等のための現金贈与」には特例あり

「相続時精算課税制度」を選択して
贈与する財産についての制限は何もありません。
つまり、どのような財産を贈与してもよい、
土地、株式、現金、何でも自由です。
なお、贈与する財産が
「自宅購入等のための現金」の場合には、
さらに新制度の特例があります。

この新制度の特例は、
一般の新制度と比べて次の点が優遇されています。
・贈与者である父または母が65歳未満でも新制度を選択できる
・2,500万円とは別枠で非課税枠が1,000万円上乗せされる

つまり、贈与財産が
「自宅購入等のための現金」であれば、
親(年齢制限なし)から3,500万円まで
贈与税ゼロで贈与を受けることができます
(贈与を受ける子どもは20歳以上でなければなりません)。

これ以外のしくみは、一般の新制度と同じです。
新制度による自宅購入等のための現金贈与の場合に
贈与価額が3,500万円を超える場合には、
その超えた部分にかかる贈与税率は一律20%ですし、
贈与者である親が亡くなり
相続税を計算する際には、
相続財産にこの新制度による贈与財産を加算して
相続税を計算します。

この新制度の特例を適用するための主な要件は次のとおりです。

1.平成15年から平成17年までの贈与であること

2.贈与を受ける子どもの自宅の新築又は取得
  (自宅と一緒にその敷地を取得する場合には
  その敷地の取得を含む)に充てるための現金贈与であること

3.贈与を受けた年の翌年3月15日までに自宅を新築又は取得し、
  その自宅に居住する(又は居住することが確実である)こと

4.取得する自宅は日本国内にあるもので、
  床面積は50m2以上であり、
  その床面積の2分の1以上が居住用であること
  (店舗併用住宅であっても居住部分が2分の1以上あればOK)

5.取得する建物が中古である場合には、建築後20年以内
  (マンション等の耐火建築物は25年以内)であること

6.たとえ贈与税ゼロでも、新制度の特例を受ける旨の届出、
  及び贈与税の申告書を提出すること

なお、贈与を受けた年の翌年12月31日までに
その自宅に居住しなかった場合には、
この新制度の特例を受けることができなくなります。
そうなりますと普通の贈与税の対象になり、
累進税率による贈与税がかかることになりますので、
取得そして居住の条件を必ず満たすようにして下さい。
そうしませんと3,500万円の贈与を受けた場合には
贈与税が1,470万円にもなりますので注意が必要です。

執筆:(株)東京ファイナンシャルプランナーズ 税理士 五関幸子
監修:公認会計士 山田淳一郎


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