第44回
未上場株式の税金
「未上場会社の株式」は
「上場会社の株式」の税金とは異なる点が多いので、
ここで整理しておきます。
自分で会社を立ち上げ経営しているいわゆる
オーナー社長一族(同族株主)の方々、その会社の役員等で
当該未上場会社株式を所有している方々は研究して下さい。
1.未上場会社の株式を売却した場合
未上場会社の株式(または出資持分)を
売却した場合の税制については、
平成13・14・15年の相次いで行われた
税制改正の影響はありません。
すなわち、従来通りの取り扱いです。
(1) 「未上場会社の株式売却利益」については
申告分離課税で税率は26%(所得税20%・住民税6%)です。
(2) 「未上場会社の株式売却損」は同じ年の株式売却益と
相殺が認められます。
未上場会社の株式売却損は、
まず、その年のその他の未上場会社の株式売却益と相殺し、
相殺仕切れない損は、
同じ年の上場会社の株式売却益と相殺します。
相殺した結果、未上場会社株式の売却損が残った場合、
つまり相殺し切れなかった未上場会社の売却損は
そこで切り捨てられます。
翌年以降に売却損を繰り越す「3年間の繰越控除制度」は
上場株式等の売却損についてだけ認められている制度であり、
未上場会社の株式売却損は翌年以降に繰り越すことは
できません。
※「エンジェル税制」といって、
一定要件を満たす未上場会社(株式公開を目指す会社)の
株式について売却益の特例・売却損の特例があります。
詳しくは第45回を参照ください。
2.未上場会社の株式配当を受けた場合
平成15年度税制改正において措置された
配当課税の軽減措置は、
上場会社の株式配当だけが対象です。
すなわち、未上場会社の株式配当の取り扱いに改正はなく
従来通りです(住民税についてだけ改正が行われています)。
すなわち、
(1) 配当の支払いを受ける際に、
とりあえず前払い税金として
「所得税20%」が源泉徴収されます。
(2) 配当は確定申告して総合課税
(他の所得と合算したところで累進税率が適用)です。
日本の会社の株式配当については配当控除の適用があります。
(3) ただし、少額配当(1柄1回に受ける配当が5万円以下、
計算期間が1以上の場合は10万円以下)については、
確定申告をしないこともできます。
その場合は、結果として所得税20%で
課税が完了したことになります。
なお、少額配当(1銘柄1回に受ける配当が5万円以下、
計算期間が1年以上の場合は10万円以下)にかかる住民税は
確定申告の有無にかかわらず
総合課税により税金がかかります
(平成15年度改正で変更になった点です。
改正前は、少額配当は申告の有無にかかわらず非課税でした)。
執筆:TFPコンサルティンググループ(株)税理士 布施麻記子
監修:公認会計士 山田淳一郎
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