第669回
免許皆伝
どのような仕事でも、それを教える、教わるという事で
その仕事のやり方は伝わっていきます。
しかし、同じように教えても、
教わる人のレベルに合わせて、それが伝わっていきます。
仕事のやり方を盗むということで表現する人もいます。
どうも盗むということには抵抗を感じますので、
教わる、あるいは相手の伝えようとする事を言葉でなく、
その表現していることから自分なりに学ぶことでしょう。
その人の仕事をしている姿、それを見て、
言葉でなく、文字でもなく、その人の心の中、
その人の脳の中を見て、推し量ってみて
そこから学ぶことが大切です。
本当の名人というのは、それをそう思う人によって違います。
名人は誰?とその人に聞いてみると、
その人のレベルもだいたい推し量れるのです。
合気道の佐川幸義先生は、
弟子の木村さんの本に写っている姿を調べれば調べるほど、
不思議さを感じます。
佐川先生は今まで誰もなしえなかった事を
成し遂げた方だと思います。
同じように合気道の先生がいたとしてもおそらく、違うでしょう。
相手が向かうと思った時すでに、
先生の大脳皮質の運動野と脊髄神経が
瞬時にものすごく働く状態になっているのです。
そして相手はその逆に
大脳皮質の運動野と脊髄神経の働きが
全く機能しなくなる血糖値のレベルになっているのです。
クレーンにたとえると、
持ち上げようとするクレーンの能力が10トンあり、
それをヒトの手で抑えているのに似ているのです。
そういうとそんなことあり得ないと思うでしょうが、
脳を調べてみると
そのようなたとえと同じ現象が起こっているのです。
同じ人間なのに、そのような事考えられないと思う人は、
理解できないでしょう。
瞬時に佐川先生はそれができる或る事を発見していた、
体得していたのです。
それが合気というのでしょう。
佐川先生がそうおっしゃるのですから、
相手の気に合わせるという現象を起こしているのです。
弟子がそういう現象を会得したから、
すぐなれるというのはちょっと早とちりです。
脳の状態も佐川先生と同じレベルにならないと、
同じようにはできないのです。
性格ももちろん左右します。
性格が歪んでいると、教えたものが正しく伝わらないのです。
そればかりでなく、あらぬ方向に向かうこともあります。
師の教えを頑なに守るというのも、
それも間違いの元になります。
免許皆伝というのは、
なかなかないということになるようです。
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