第102回
すばらしき香港生活
1978年、新婚旅行で行った先が香港でした。
当時新婚旅行の行き先といえば圧倒的にハワイ。
香港の高級グルメツアーを選んだのには、
当時からアジアに関係した仕事をして行きたいという思いがあり、
家内もそれに同調してくれたからかもしれません。
ハワイはそのうち行けるだろうという思いもあったのです。
(今だに一度も行っていません。恥ずかしながら)
それから10年後、
銀行の駐在員としての香港生活が約7年間始まったのです。
先ず一人で赴任して
家を探してから家族を呼ぼうと降り立った香港。
旧空港から九龍を横切るハイウェイの両側は古ぼけたビルが並び、
夢がちょっと萎んだのを覚えています。
土地がない香港は
平地だけでなく山の斜面も利用して高層ビルが立ち並び、
街には背広を着たビジネスマン・上半身裸の労働者が
秩序も無く歩き回る世界で、
バイタリティーは感じるものの、
混沌とした世界に当初はついて行けない状況でした。
微笑みのない香港人。
レストランでは皿をテーブルの上で投げて並べ、
つり銭は投げて返す。
最初は「こいつらとんでもない奴らだ」と毎日腹が立っていました。
それが何年も経つと、
そうした冷たさが逆に心地よく感じるようになってきます。
日本のような親戚、近所付き合いがないので、
誰にも干渉されない世界が
すばらしい世界の様に思えてくるのです。
アパートが山の傾斜地にあったので、
朝・週末はハイキング。
山の上から見える眺望は南は香港の大都会、
北は山の緑・貯水池・海と自然と大都会が一望にできるパノラマ。
週末は朝早起きして近くの島でゴルフを楽しみ、
昼前にはビーチでウィンドサーフィン。
夕方家族と外出して食事を楽しみ、その後オペラの観劇。
コンパクトな街だからこそできるリゾート・シティライフです。
懐かしい香港生活ですが、
高い家賃(60万円??)が
会社持ちだったからこそできた贅沢かもしれません。
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