「骨董ハンター南方見聞録」の島津法樹さんの
道楽と趣味をかねた骨董蒐集の手のうち

第98回
商品学(チベット・ネパール編)
ネパール・チベットの金銅仏
絶対儲かる骨董アイテム、今チベットが面白い

チベットターラー16世紀

ジャジャ〜ン!
今これほど期待が持て楽しい骨董のジャンルはない。
インドで生まれた仏教は
始め仏陀を菩提樹や聖壇で表した。
紀元1世紀ごろガンダーラにおいて
始めて仏陀を人間で表現した。
仏教はさまざまな発展過程を経て、
ネパールやチベットに伝わった。
そこでは鋳金によるラマ教の諸尊像がつくられた。
諸尊像の時代ごとの様式を述べてみよう。

古いものは11〜13世紀ごろのもので、
鍍金が残っているものは少なく
ブロンズの肌が赤黒く光っている。
耳飾りや複雑な装飾部分には、わずかに鍍金が残っている。
顔立ちもインド人にそっくりで目が非常に大きい。
観音像などは胴部分が括れ、腰が大きく肉感的である。
この時代のものは遺品も少なくとても高価である。

14、15世紀になると
菩薩像などは幾分東アジア的になり、
馴染み易い顔立ちになる。
これはモンゴルやそれに続く明の影響が
チベットやネパールにまで伝わったからだ。
像は多臂多顔となりそれに動きが加わってくる。
円空仏に代表される素朴な造詣の対極の像である。
人間の技巧がこれほど繊細に注意深く展開された仏像は
他に類を見ない。
それ故素直に美しいと感じてしまう。

チベット・ネパール仏の専門家は日本にはまだ少ない。
これから骨董屋をやるなら
このジャンルを徹底してやってみれば道は開けるだろう。
もちろん僕もやる。
それに秘密だが中国のあるところから
かなりな数がまだ出てくるみたいだ。
一度クリスティーズサザビーズ
Indian & Southeast Asian Arts 部門を
覗いてみることをお薦めする。
コレクターの立場から見ても
距離が離れているだけにエキゾチックで
インテリジェンスを刺激するアイテムだ。


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