| 第75回商品学(ラオス編)
 1. 仏像−可愛い子供顔
 ラオスの首都ビエンチャンはタイのノンカイとメコン河を隔て、目と鼻の先にある。
 川舟で渡っても5分とはかからない。
 今はメコン河に橋が架かっていて、自動車で30秒ほどだ。
 この距離を嘗ては
 バンコク、ホーチミン、ビエンチャンと
 飛行機を乗り継いでゆかねばならなかった。
 政治とはなんと難しく高い垣根を築くのだろう。
 この国の人々は温和でマナーも極めてよかった。しかし昨今はタイやベトナムの影響を受けてか
 若い人の中には理由の分からない人もいるから注意も必要だ。
 ラオス美術の代表である仏像も
 国民性を写したのか幼顔で可愛いものが多い。
 玄関やリビングに置くと、
 ほのぼのとした良いインテリアとなる。
 そんな理由で欧米のコレクターやディーラーが買うのか、
 最近では結構いい値段が付いている。
 僕はそんな仏像を買い付けにラオス北部のルアンプラバンに出かけた。
 そこそこの仕事が出来たので、後は周辺の村を回ることにした。
 良いアイテムはないかと10〜15戸くらいの小さな村々を尋ねた。
 それらは川の横にあったり、山の斜面に張り付いていたりで
 尋ねるのも大変だった。
 外国人が来たというので、どこでも子供がワーッと集まってくる。裸足の子供達は柴犬よりちょっと大きい黒豚や、
 足の短いめちゃくちゃな雑種犬、鶏などを引連れてくる。
 洟垂れ、虱持ち中には
 大怪我をして足を引きずっている子供もいる。
 どの大将もぼろパンツの前には
 木の股で作ったパチンコが差し込んであって、
 結構それが自慢のようだ。
 彼らの顔はこれ以上汚れようがないというほど汚れているが、
 パチッと見開いた瞳は可愛い仏像のお顔と同じだ。
 ある村で夕食をご馳走になった。蝉の唐揚、蝙蝠の踊り揚げ、オオトカゲのバーベキュー、
 シロアリの玉子なんかも出てきた。
 それに僕の家の近くの堤防に幾らでも生えている
 アカザという雑草や、ドクダミの根なんかを
 テーブルに所狭しと出された。
 僕の大好きな蒸したての糯米も竹籠に入れて出してくれた。
 蝉の唐揚、コオロギの踊り揚げまでは大丈夫だったが、
 食べるのが難しいものもあった。
 でもその美味しいこと。腹いっぱい食った。
 みんな自然の恵みモノで農薬なんか全く使っていない。
 僕のテーブルを囲んでガキ大将たちが興味深そうに覗き込んでいる。
 僕はそこではっと気づいた。
 (つづく)
   
           
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