誰が日本をダメにした?
フリージャーナリストの嶋中労さんの「オトナとはかくあるべし論」

第24回
血液型占いという名の流行病い

大まじめな話をしていて、
いよいよ核心に迫ってきたときに、
突然、
「ところであの男はB型なんだってね。
 マイペースというか自己チュウというべきか、
 四面楚歌になってしまうのもわかるような気がするな」
などといわれると、なんだアホくさ、
今まで熱っぽく議論してきたことが
すべてムダになったような徒労感をおぼえる。

いわゆる血液型による性格占いのたぐいに一喜一憂するのは、
もっぱら女子供だけ、と誰かさんが失礼なことを言っていたが、
近頃はいい年をした男たちも、
嬉々として話の輪に加わるようになった。
そのせいか、初対面の人間に、いきなり
「血液型は何型ですか?」と聞かれ、
面食らうことがある。
警官の職質じゃあるまいし、
なぜ自分の血液型まで公にしなければならないのか。

血液型占いに血道を上げている人間は、
多くO型の者だという。
一般にO型は性格が陽気で大らか。
社交好きで、時に八方美人といわれることもある。
それでも“ネアカ”人間が尊ばれる
ノーテンキな時代にあっては、
O型は陽の当たる道を歩んでいるような好印象を与えるらしい。

私はA型なのだが、
このタイプはO型とは対照的に
ネガティブな印象を持たれるらしく、
私がA型だというと、気の毒そうな顔をして
「とてもA型には見えませんがね。
 どっちかというとB型ではないかと……」
などと勝手を言う。
A型はまだいい。
かわいそうなのはB型とAB型だ。
B型は無神経、AB型は二重人格などと失敬なことをいわれ、
なにか人間関係でトラブルが生じたりすると、
「B型だもの、しかたないわよ」
などと一方的に決めつけられてしまう。

血液型占いが盛んなのは日本と韓国くらいのもので、
世界の他の地域では、
血液型と性格に何らかの因果関係があるらしい、
ということすら知られていないという。
B型人間は自己チュウで無神経みたいにいわれるが、
そのほとんどがB型とされるモンゴル人が聞いたら、
さぞ気を悪くするであろう。

占いを信じる信じないは勝手だが、
私の前では決して話題にのぼらせないことだ。
人間性どころか精神性まで疑われ、
以後、下等動物と見なされること必定だから。


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