Qさんの本を読むのが何よりスキ
という戸田敦也さんがQライブラリーのガイド役をつとめます

第237回
「『死に方』とは『生き方』のことである」

『死に方、辞め方、別れ方』を刊行したとき
邱さんは59歳でした。
それから6年たち65歳になったときに
『死ぬまで現役』を刊行しました。
この中で、邱さんは『死に方、辞め方、別れ方』
で描いた「死に方」の意味にふれ、
その後の人生に向かう態度について書いています。

「年をとると、どうしてもその分だけ墓場が近くなる。
墓場が近くなるとそれだけ人は死ぬことを恐れるようになる。
それでもやっぱり死ぬ時がついにくる。
どうせ死ぬものなら、
上手な死に方がある筈である。
そう思って『死に方、辞め方、別れ方』
という本を書いたことがあった。
本のタイトルにいきなり『死に方』ときたら、
読者が敬遠するんじゃないか、といわれた。

たしかにそういう傾向はあるとみえて、
数多い私の著書のなかでは
ベスト・セラーズというわけにはいかなかったが、
それでも手堅い売れ行きは示している。
私にいわせれば、『死に方』とはとりもなおさず
『生き方』のことである。
終点に『死』があって、
『どういう死に方をしたらよいか』と考える人は、
死ぬまでにどう生きたらよいか、
を考えないわけにはいかない。

年をとると、病気がちになって病院通いばかり、
というのもつまらないし、飛ぶ鳥もおとす勢いだったのが
すっかり世間から忘れられてしまうのも淋しい。
総理を辞めた人が政界に影響を残したがるのは
人情の然らしめるところであるが、
それができるためにはそれなりの『打つ手』も必要になる。
ぼんやり年をとっているわけにはいかないのである。
人は皆、昔から年をとっているわけではない。
はじめて年をとるので、
『どうやって年をとればよいか』がわからない。
見苦しい年のとり方はしたくないと思っても、
いざその火中に入っていくと
西も東もわからなくなってしまう。
そこで自分がまったく年の分別がつかなくなる以前に、
せめて自分にこれだけは守らせたいと思う規則を
自分でつくっておく必要がある。
(略)
原則的なことになると、私の場合は、
(1)自分で死にたい年齢を自分で決める
(2)それまで現役で仕事をする
(3)元気で仕事ができるように体調を整える
以上のことが頭にあれば財産対策も、
あるいは後継者の養成も、
自らできあがってくるのではあるまいか」
(『死ぬまで現役』)


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2003年4月21日(月)

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