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25. 思い出話 W

今回はイタリア滞在中にお会いした印象深い有名人をご紹介します。
有名人といっても料理界での話で、
ハリウッド映画スターや政界の方たちではありません。

まず一人目はイタリア料理界の天才料理人と云われた、「ジャンフランコ・ヴィッサーニ」
イタリア中部ウンブリア州にある"リストランテ・ヴィッサーニ"
いわずと知れたミシュラン二つ星の輝く名店のオーナーシェフです。
ヴィッサーニ氏のことは雑誌やテレビで拝見したことがあるので知ってはいましたが、
こんなにも威圧感があり、でも気さくな人柄だとは思いませんでした。
外見はまるで「熊」そのものです。
190cm以上の身長に横幅もでかく、無精ひげが何ともいえない味を出していました。

当時私がマルケ州の「イル・ラゲット」で働いていた時に
ゾロゾロと子分というか何と言うか若いコック達?を引き連れて来店してきたのです。
まるで番長!そう、この例えが一番シックリきます。
体に似合わないシャープなスポーツカーに乗ってバカンスを楽しみに来たのでしょう。
そしてレストラン イル・ラゲットのオーナーと仲良く話してるではありませんか?!
まさかお友達?という疑問を持ちながら質問すると、
「友達だ!」という答えが返ってきました。
料理の世界はどこでどう繋がっているか判らないものだと感じた瞬間でした。
関係無いですがここのオーナーも外見は熊のようで
190cm以上の身長に横幅もデカく無精ひげが濃く似ているところ多々あり。
双子の兄弟ではないけど、並ぶとソックリです雰囲気が。

そして新鮮な魚介類を扱ったイル・ラゲットの料理がお好きなようで
食卓を皆で囲み賑やかに食事をしています。
ヴィッサーニ氏の料理は独創的で昔から愛称の良い食材同士を組み合わせずに、
誰も思い付かないような食材同士を掛け合わせ料理を仕上げます。
そういった料理を好むかと思いきや、
イル・ラゲットのようなテクニックなど一切使わないシンプルな料理が好きみたいで、
イル・ラゲットの料理を絶賛しておりました。

私自身ヴィッサーニ氏のレストランには食事に行ってませんので
彼の作る料理はテレビや雑誌でしか知りません。
料理番組には必ず出ていたような気がしますが、
私の見たところ既にバラエティの芸人さん的な存在になっているような気がしました。
それでも天才料理人の冠を持ち、
独創的且つファンタジックな料理を創るのだから凄い人なのは間違いありません。
サインは頂きませんでしたが、握手したその手はお察しの通り「熊の手」でした。

次回の有名人は
「知る人ぞ知るフランス料理でヌーヴェル・キュイジーヌの旗手、ポール・ボキューズ氏」


2008年2月6日 <<前へ  次へ>>