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6. 出会いの力

海外で料理の修業をするにあたり大切なのが、
壱・自分自身の気持ちを強く持ち、
  メンタル面で押しつぶされたり、流されたりしない事。
弐・少なからずとも未来(1〜3年後)のビジョンを持つ事
参・人間関係を大切にし、縦横の繋がりを持つ事。

私が大切にしていた事柄であって全てがそうだとは限りません。
壱は説明不要だと思います。
弐に関しては、将来何年後かの自分を見通して
今何をやるべきかを明確にするということ。
時間は何もしなくても過ぎていきます。
参はアンテナを高く持ち
情報収集がスムーズに出来るようにという意味と
異国で同じ目標を持つもの同士励みになるという意味です。
そしてこの参が
イタリア滞在の結果を左右するかもしれないからです。

一軒目の修行先で働いていたある日の事、
浜辺で日光浴をしていたグループに
東洋人を見かけ話しかけたところ、
日本人で彼女もイタリアに料理の修業に来ていて
今はその修行先が夏のバカンスに入ったので、
店のみんなと海水浴を楽しみに来ているとの事。
料理の事や、レストランの事、
イタリアに来た経緯や目的などを話し合い
私にとって良い刺激になった事は言うまでもありません。
イタリアに来たばかりの私にとって
レストランの情報や条件など
知りえないものを教えていただけました。
2時間ほど話し終わった後に彼女が突然言いました。
「ヨシさんにぴったりのレストランがあります!
紹介させてください。」
何を根拠に私にぴったりのレストランと言ったのか
未だに分かりませんが、彼女曰く
シェフがとても素晴しく才能豊かな人間なのだとか。
彼女にそのシェフとコンタクトをとってもらい
2ヵ月後の9月より働かせていただけることとなりました。
正直どこに在るのか、
どんな料理を出しているのかも分からず決めてしまい
勢いに任せた部分はありました。
でもその彼女が言う、
私にぴったりのレストランという言葉に引かれ
行ってみたくなったのです。

今思えばあの日あの時、あの人に会わなければ
私のイタリア滞在も充実したものにならなかったかもしれません。
それほどその彼女に紹介していただいたレストランは
素晴らしかったのです。
そして私のもっとも尊敬すべきシェフ
「ダヴィデ」に出会えたことも。
出会いは受け止める人によって最高にも最悪にもなる。
ですがその出会いを積極的に行わなければ何も始まらず、
何も変わらないと私は感じます。


2007年5月16日 <<前へ  次へ>>