食品といえば、輸入食品の安全確保が大きな関心事です。
先日、北京で開催された「国際食品安全」に関する
フォーラムに参加しました。
主な議題はやはり高まる輸入食品基準についてでした。
食品業界の方々によると、15年程前は関税が貿易障壁でしたが、
貿易が盛んになった現在では、
各国で設けられている輸入基準が
新たなる貿易障壁として認識されています。
日本が設けた残留農薬に対する「ポジティブリスト」制度、
EUの高い安全規格などによって
中国の農家は技術的な進化を迫られています。
現在、中国は2億人の農家がいる農業大国
(うち輸出に従事するのは5万程度)ですが、
大規模農家は未だ未だ少なく、小規模農家が多い状況です。
会社組織であれば、食品安全の問題は企業が倒産するなどの
致命的なリスクとして認識されますが、
個人農家では食品安全対策のリスクについて
認識がばらばらになりがちです。
その為、其々の農家で安全基準や農薬・肥料の知識量はばらばらで、
政府も管理が非常に困難という問題があります。
海外の高い品質基準に応じるためには、
個人農家だけの努力では限界があります。
その為に、中国国務院発展研究センターという政府機関で
農業部門を担当する方が、
次の4つの取り組みについて発表しました。
1−農業技術、管理体制のレベルアップ。
2−WTOの安全基準の啓蒙。
3−海外の各国との連携。(情報共有、公平な基準について議論)
また、農家の利益が少なく、販売者の利益が多い現状は、
生産地で不正が生まれやすい。
その為、政府が主導となって
農家がもっと利益を享受できるような取り組みを
研究しているとのことでした。
邱先生がご紹介されているような、
食品の上流から下流まで取り扱うような大企業も出現していますし、
中国の農業技術の進化や農家の国際競争力も
大規模農業化が掛かっているのです。
中国は世界第3位の食料輸入国、
世界第4位の輸出国になろうとしています。
今回のフォーラムで発表された
中国国務院や商務部の方たちは、
海外の厳しい食品輸入基準に対応するのは
大きなチャレンジとしつつも、
中国農業のレベルアップを積極的に推進しています。
中国の農業や食品業界は、海外から叩かれながら
急速に淘汰と進化(農業の大規模化)を
繰り返している段階というのがよく分かるフォーラムでした。
<つづく>
絶世の活動情報 : www.zessei.com
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