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281.新しいものは古い

事業アイディアなんかを考えていますと、
実は結構ざくざくアイディアは出ます。

それは、アイディアの種を
どこから拾ってくればいいのかだいたいわかっているし、
いいおっさんと呼ばれる歳になってくれば、
自分の中にアイディアのストックはある程度ある訳です。

また、孫さんではないですが、
中国で商売のネタを考えるなら、
タイムマシーン経営で、
国外や直接日本のアイディアを持ってくれば
それだけで新しいわけです。

こうやって新しいものを生み出す努力を続ける事は大切だけど、
新しいものは、
次に新しいものが生まれた瞬間に古いものとなってしまいます。

これが新しいものの宿命です。

翻って、ついつい新しいものを生み出す要求を
自分にも他人にもするわけですが、
明日すぐに古くなる新しいものを追い求めることは
本質的に間違う可能性があるなと思っているわけです。

ではどうすればいいのか、ということになりますが、
一言で言うと、新しいものを追い求めるのではなく、
それが新しいかはさておき、
これまでよりも良いかどうか?
という視点で判断をするのがよかろうと考えています。

初めて北京の三全公寓に行った時、
邱先生がじきじきに私を案内してくれました。

当時とてつもなく高く見えたビルの方を
一緒に眺めながらこういったんです。

「あのね、僕がこのビルのデザインをお願いしたときに言ったのは、
“最初から古く見えるように作ってください”
ということだったんです。
だって、最新のデザインでつくったら
すぐに時代遅れになるに決まってるんですから。」

なんてことを考えてるんだ、
と思わず笑ってしまいました。

新しいものより、それがどうあるべきか、
そしてそれは絶対的に良いか、比較的良いものであるか、
を問いただす事の方がどうやら意味がありそうです。


2012年8月20日(月)

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