昔、イタリアの美しい教会が数百年にわたって作られていたころ、
ある人が二人のレンガ工に聞きました。
「あなたは何をやっているの?」
一人は、
「つまらない仕事さ、レンガを積み上げているだけさ。」
そしてもう一人は
「素晴らしい仕事さ。
何せ、イタリアの歴史を積み上げているんだから。」
いかなる仕事をしようとも自分の仕事を好きになり、
尊敬することが大切だと思っています。
その理由は、結局のところ人が長期的に高いモチベーションを保ちながら働けるのは、
1つは、その人自身がもつ良い習慣に、
もう1つは自分がやっていることが自分の価値観と照らし合わせて満足いくものかどうか、
すなわち好きかどうかに関わっているからです。
そして、好きになれるかどうかは
(1)そもそも自分の嗜好性や強み、個性に合致しているかどうか
(2)そして、好きになれるように前向きに努力するかどうか
に関わっています。
「好きになれるように前向きに努力する」というとちょっと
無理をしているように聞こえるかもしれませんが、それは、恋と愛の関係に似ています。
「恋と愛の違いはなんですか?」という質問に答えられるでしょうか?
私は、中学2年生の頃、このことを考えていました。
そして、中学3年生になったときにふと思いついた答えは
「恋とは、ある特定の人を好きだという状態であり、
愛とは、その人を好きになろう、
愛そうという前向きな努力、つまり行為だ。」と定義しました。
よく私は、"愛は植物を育てることのようだ"と言います。
植物は、毎日光を与え、水を与える必要があります。
結構手間がかかるのです。
そうやって毎日水をやるうちに、その植物がなんだか可愛く思えてくるのです。
面倒をみてやるという行為が穏やかな感情を生み出すのです。
翻って私はもともとホテル経営をしにここ中国の内陸に足を踏み入れました。
しかし今やっているのは、フードサービス(レストラン)です。
でも私は自分の仕事が好きですし、尊敬しています。
よくレストランをやっているというと、地元の中国人や日本人に、
「よくそんな辛い仕事をやるね。
お金を稼ぐならもっと簡単な方法があるでしょ。
いやー、私はレストランだけは絶対にやらないと決めています。」
などと言われます。
その主張には同意します。
たしかに大変な仕事です。
しかし、考えてみると、今我々の仕事は、
年間1300万元程度(約2億円)の売上があります。
そして従業員は170名前後です。
それこそ、頭のいい人たちを雇って投資顧問会社でもやれば、
5人程度で同等の売上も可能だとは思います。
でも、私は胸をはって、170名の雇用を創りだし、
年間11万人のお客様にサービスをしています。
これほどの社会貢献ができる業態もそれほど多くはないと思います。
レンガを積み上げる仕事もレストランの仕事も、
要は自分がどのようにその仕事を定義し愛情を注ぐかによって
意味がまったく異なってきます。
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