第1543回
日本人と中国人の常識は違う
日本人と中国人は同じ黄色人種で顔が似ています。
これが日中関係や日中間の国民感情が
一向によくならない原因なのではないかと私は思っています。
全く顔が違う白人や黒人の人の考え方が、
日本人と全く違っていても、
それはそれで納得がいきやすいと思います。
しかし、なまじ中国人は日本人と顔が似ているばっかりに、
ついつい「私たち日本人と同じ常識を持っているのではないか?」
と考えて接してしまうことが、
様々な摩擦を生む遠因となっているのではないでしょうか。
私が16年間中国に住んで得た、とりあえずの結論は、
「日本人と中国人は顔が似ていても、
考え方や常識は全く違う」ということです。
もちろん、中国人の中にも
日本人に似た考え方をする人もいますし、
日本人でも中国人と同様の常識を持った人もいます。
しかし、全体的な傾向を見た場合、
やはり大多数の日本人と大多数の中国人の考え方や常識には、
全く相容れないものが多いです。
例えば、列に並ぶこと。
最近は中国でも国家の「11日は並ぶ日」キャンペーンなどにより、
きちんと列に並ぶ人が増えてきましたが、
それでも、麦当労(まいだんらお、マクドナルド)などで
列に並んでいると、列を無視して直接カウンターのところに
行ってしまう人を見ることもまだまだ少なくありません。
そうした人たちにとっては、
みんなで同時にカウンターの店員に話しかけ、
店員に相手にしてもらった人からハンバーガーが買える、
というのが常識であり、
黙っていつまでも列に並んでいたり、
割り込んだ人に文句を言ったりする行為の方が非常識なのです。
それが証拠に、割り込んだ人に
列の最後尾に並ぶよう文句を言うと、
だいたいの人はキョトンとした顔をします。
彼らは列に割り込む行為に対して全く悪気はなく、
ただ、自分の常識に従って行動しているだけなのです。
この「悪気のなさ」ほど始末が悪いものはありません。
悪意でやっているのなら、
まだ、注意して改善させることができますが、
自分の常識に従って行動しているだけなので、
「今後改めます」という気持ちももちろんなく、
それが日本人を更にいらつかせることになるのです。
今後、「日中の相互理解」が進んでいくと、
日本人も中国人も相手の考え方や常識が
自分たちと全く違うことに気付いていきます。
そうした「日本人と中国人の違いを知る」という段階を経て、
お互いの考え方や常識を尊重し合い、
「では、どうしたら考え方や常識が全く違う人たちと
気持ちよくお付き合いしていけるのだろう」と考えることが、
今後、日中両国が共存共栄していくためには、
不可欠となるのではないか、と私は思います。
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