第1503回
北京市郊外にEVタクシー登場!

先日、北京市の南西の郊外に位置する房山区で、
純電動自動車(EV)タクシー30台が、
3カ月の試験運転を開始しました。
北京市では今年中に市内で計400台の
EVタクシーを導入する予定であり、
房山区は北京市の北西の端・延慶県に続いて
2カ所目の導入となるのだそうです。

今回、房山区で使用されるEVタクシーは
重慶市にある長安汽車が製造した「E30」という車種。
タクシーの行き先は房山区内に限られ、
充電は区内各所に用意された
50基の充電器を使用するのだそうです。

北京の大気汚染は一向に改善の兆しが見られません。

2008年にオリンピックを開催するに当たって、
北京の空気を良くするために、
首都鋼鉄を始めとする北京の多くの工場は
他の地方に強制的に移転させられましたので、
現在の空気の悪さは全て、増え続ける自動車が排出する
排気ガスが原因であると言われています。

そうした状況の中で、北京の道を走る車の
一定の台数を占めるタクシーが全てEVになれば、
北京の大気汚染が大幅に改善されることが期待されます。

まずは延慶県や房山区などの郊外で実験し、
うまくいけば北京市全域に導入を行うのでしょう。
もし、どうしてもうまくいかなければ…。
この実験はなかったことにして、
また別のことを考えるのでしょう。
これは「深センやスワトウなど辺鄙なところで試して、
うまくいけば全国に広げよう」という、
改革開放政策の展開方法と全く同じです。

日本では今、「小さく賭けろ!」(日経BP社)
という本が流行っているそうですが、
「小さく賭けて、素早い失敗、素早い学習を繰り返す」
という意味では、企業経営者が
中国共産党の政策実施方法に学べるところも
大いにあるのかもしれません。

さて、肝心のEVタクシーの料金ですが、
2キロ毎に2元(26円)という設定は
市内のガソリンタクシーと同じです。
しかし、初乗りは3キロ以内8元(104円)と
ガソリンタクシーより2元安く、
更にガソリンタクシーに乗ると取られる
3元(39円)の燃料付加費も、
ガソリンを消費しないEVタクシーでは取られませんので、
合わせて5元(65円)安い計算になります。

ガソリンタクシーより5元も安ければ、
EVタクシーを選んで乗る人が増えることが予想されますので、
タクシー会社も、タクシー運転手も競って導入を進め、
EVタクシーはかなりのスピードで
普及が進むのではないかと思われます。

EVタクシーの郊外での実験が成功し、
北京市全域に導入され、
北京の大気汚染が改善される日が
1日も早く訪れることを期待しています。





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2012年5月21日(月)

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