第1447回
初公開!共産党委員会の権力構造

先日、北京市西城区の共産党委員会は、
党委書記(共産党委員会書記)を始めとする
委員会のメンバーが、
どのような権限を与えられていて、
どのように政策を決定しているのか、などの、
権力構造を詳しく示した
164枚にわたる図表を公開しました。

中国の中央政府、地方自治体、
国有企業などの国家機関は全て、
実務組織と共産党組織の二重構造になっています。

西城区の場合、西城区人民政府が実務組織で、
西城区共産党委員会が共産党組織です。
今までは人民政府の権力構造は公にされていましたが、
共産党委員会の権力構造は秘密のベールに包まれていました。
今回の公開は全国初の非常に異例なことなのだそうです。

公開された図表によれば、
区のトップである党委書記は、
政策決定の主宰、緊急事件・事故の処理など
7つの権限を有するとされています。
そして、7つの権限のうちの幹部任命に関しては、
党委書記が最終決定権を持っており、
人民政府のトップである区長や党委副書記は
関与や提案しかできないことになっています。

一方で、区の議会である人民代表大会や
区の人民政府との権限の境界線も明確に示し、
党委書記に権力が過度に集中することなく、
議会や政府が党委書記が決定した人事や政策を
チェックできるような体制になっていることも示しています。

北京市西城区は中国の国家権力の中枢である
「中南海」の所在地。
中国共産党はまずはお膝元の西城区という
小さな地方自治体で共産党組織の透明化をテストしてみて、
これがうまくいけば、中国全土に広げていこうと
しているものと思われます。

この試みは、国民に対する
中国共産党の透明化のアピール、という面もありますが、
一方で、「田舎の腐敗幹部に対する警告」
という意味合いもあるかと思います。
なぜなら、中国では、
地方の省や市の下に位置する県や郷の党委書記が、
まるでその地域の皇帝であるかのように
私利私欲で人事や重要政策を勝手に決めてしまい、
議会や政府によるチェックが全く効かないケースが
多いからです。

中国共産党中央は
「このままでは中国共産党は国民に打倒される!」
という危機感を持っていますが、
その危機感は残念ながら
田舎のバカ幹部にまでは伝わっていません。

中国共産党を滅亡に導くかもしれない最大の敵は、
民主化勢力でも独立勢力でもなく、
ほかでもない味方であるはずの共産党員なのです。





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2012年1月11日(水)

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