第1432回
中国団購業界に早くも暗雲
先日、中国の割引券共同購入サイト大手の
「拉手網(らーしょうわん)」が、
米証券取引委員会(SEC)に
新規株式公開(IPO)計画を届け出ました。
同社はナスダック市場で1億米ドル(78億円)の調達を目指し、
調達した資金はコールセンターの新設など
顧客サービスの向上に使うのだそうです。
私は半年前にお話しした
第1354回 次の「中国版○○」の上場は?
で、「中国の団購業界は現時点では雨後のたけのこ、
群雄割拠状態ですが、ビジネスの性質から言って、
あと1年もすれば「勝ち組」と「負け組」がはっきりし、
その「勝ち組」の中でも最大手と呼ばれるようになった会社が
「中国版グルーポン」としてニューヨークに
上場することになるのでしょう」と予想しましたが、
それが見事に的中した形になります。
本業の方でも予想がこのぐらい見事に的中すれば
当社ももっと儲かるのですが...。
この割引券共同購入サイトというビジネスモデルは、
2008年11月にアメリカのグルーポンが始めたのですが、
「拉手網」の創業はそのわずか10ヵ月後の2009年9月。
今や、アメリカと中国ではビジネス情報にほとんど時差がなく、
ソフトバンクの孫正義社長が提唱する「タイムマシン経営」も
どんどん難しくなっているのが現状です。
しかし、中国で団購(とぉあんごう、団体購入)
と呼ばれるこのビジネスモデル、
登場から2年にして早くも暗雲が垂れ込め始めています。
中国の団購サイトである「団800」の調査によれば、
今年9月の団購サイト全体の総売上高は前月比8%減となり、
今まで順風満帆だった同業界の売上高が
初めてマイナスに転じました。
団購業界では今年9月だけで419社が倒産し、
今年に入ってからの倒産数は年初の業界企業総数の
約1/3に相当する1,027社に上っています。
また、業界大手の「高朋(がおぽん)」、
「開心団(かいしんとぉあん)」、「団宝(とぉあんばお)」なども
相次いで人員削減計画を発表、
ナスダックに上場しようとしている
上記「拉手網」でさえ収益は悪化しており、
今年6月末時点の累積赤字は
7,340万米ドル(57億円)に達しているのだそうです。
団購のビジネスモデルは元々、
不況やインフレには強いはずです。
しかし、不動産価格下落による資産の減少、
景気の先行きに対する不安などにより、
財布の紐をきつく締める消費者が増えたことが、
安く買える団購の売上さえも減少させているのでしょう。
中国の団購業界は「負け組」が淘汰されて
数社の「勝ち組」が残るのか、
それとも団購業界全体が「負け組」になってしまうのか。
どちらにしても、業界関係者にとっては
今後1−2年が正念場となりそうです。
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