第1422回
とうとう始まった新築マンション値引き販売
中国でとうとう新築マンションの値引き販売が始まりました。
上海では最近、緑地集団や華潤置地など
大手不動産開発業者が開発した新築マンションが、
売り出し価格から20-40%引きで販売され始めました。
その内の1つ、華潤置地が今年3月に発売した
上海の観光名所・外灘(わいたん、バンド)に近い
超高級マンションは、
発売当初12万元(144万円)/uで販売されていましたが、
今では33%引きの8万元(96万円)/uで売られているそうです。
同じ上海市の嘉定区では、
当初1万8,000元(21万6,000円)/uで
売り出されていた新築マンションが、
20%以上安い1万4,000元(16万8,000円)/uまで値引きされ、
当初の高い値段で買った購入者300人以上が
マンションの販売センターに押しかけて抗議、
マンションの模型や看板を破壊する、という事件も起きました。
上海市統計局によれば、
今年1−9月の上海市の住宅販売面積は
前年同期比で14.9%減少し、
7年ぶりの低水準になったとのことです。
一方で1−9月の住宅着工面積は23.7%増加しており、
新築マンションの供給過剰が顕著です。
不動産開発事業は大きな船のようなものですので、
買う人が減ったからといって、急には止まれないのです。
この新築マンションの値引き販売の動きは、
上海だけに限ったことではありません。
不動産仲介大手・中原地産によれば、
値引き販売の動きは中国全土に広がっており、
平均値引き幅は北京で20%以上、杭州で10−20%、
南京で10%、成都で5−10%、天津で5−15%
とのことです。
第1363回 「売れ残る中国のマンション」、
を書いた4ヶ月半前の時点では、
中国のマンションは大量に売れ残っているものの、
不動産開発業者は値下げをせず、
不動産価格抑制政策を推し進める中国政府と、
不動産開発業者のチキンレース(度胸試し)が
繰り広げられていました。
しかし、その後、大方の予想通り、
中国政府の更なる金融引き締め政策の強化により、
不動産開発業者の資金繰りは極端に悪化、
彼らは大幅値引き販売によって、
既に建ててしまったマンションを何しろ早く現金化して、
資金の手当てをしようとしているのです。
チキンレースは中国政府の完全勝利に終わり、
中国の不動産価格は明確に下落に転じましたが、
一方で今後、下落幅が大きくなると、
既に建築済みの物件を抱えている不動産開発業者、
多額の借金をして不動産を買った個人、
不動産開発業者や個人に融資をしている銀行、
財政の30%を土地売却収入に頼る地方政府など、
「不動産価格は上がり続ける」ということを
大前提として行動していた人たちが次々と破綻して、
社会が不安定化する可能性も否めません。
中国政府は今後、
こうした人たちがなるべく破綻しないように、
ゆっくりと不動産価格のバブルの部分をしぼませていき、
「人が住む」というマンション本来の目的による
実需があるところまで
ソフトランディングさせていくのではないかと思います。
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