第1417回
「京論壇」に望む更なる進化

先日、今年の「京論壇」の代表のみなさんが、
当社までご挨拶に来てくださいました。

「京論壇」とは東京大学と北京大学の学生が、
北京、東京を相互に1週間ずつ訪問し、
生の中国、生の日本に触れながら、
分科会形式で現在の日中が抱える問題を
共通言語である英語で討論し、
その結果を社会へ発信する、という活動です。

2006年に始まったこの活動は、今年で6年目を迎えました。
今年の分科会のテーマは
「ジェンダー」、「国家イメージ」、「インターネット」の3つ。
どれも大変興味深いテーマです。
学生たちの熱い討論の様子やその成果は、
「京論壇」のホームページ(※1)、及び
「京論壇2011公式ブログ」(※2)でご覧ください。

元々、この「京論壇」は2005年4月に中国で発生した
反日デモがその発足のきっかけとなりました。
このため、初期の「京論壇」は
両大学の学生が本音で討論し合う中で、
お互いの認識の違いを発見し、
その違いに改めて驚く、ということの連続でした。

しかし、その後、日中関係は急速に改善。
対立軸を失った「京論壇」は、
自身の存在意義を巡って迷走を始めたかに見えましたが、
ここ数年は、両大学の学生とも
テーマや切り口によっては、お互いの価値観が
驚くほど似通っていることに気付き始めました。
そして今では「国籍や育った環境は違っても、
共通の価値観に焦点を当てて、
より良い日中関係を「共創」していく」
という新たなミッションを見い出し、
「対立」から「相互理解」
そして「共創未来」へと進化を続けています。

そして、今回、私が
「京論壇」の代表のみなさんにリクエストしたのは、
「京論壇」を更に進化させて、
アメリカのハーバード大学を仲間に入れ、
3校の学生で世界的な問題について討論してほしい、
ということです。

世界のGDP(国内総生産)の40%以上を占める
世界三大大国の最高学府の学生たちがその英知を結集して、
学生という何のしがらみもない自由な立場で
世界的な問題について討論し、
それぞれの国の政府を動かせるぐらい
説得力のある共同提言をまとめることができれば、
世界をより良い方向に動かすことも
夢ではないのではないかと思います。

誤解を恐れずに言えば、
日中間に横たわる数々の問題など、
所詮はちっぽけな問題です。
そんなことよりも、人類が共同で
解決していかなければならない問題が
世界には山積しています。

「うちの娘を長州の男にやるなんて、とんでもない!」
と憤る会津のお父さんを、
「まぁ、まぁ、同じ日本人なんだから...」となだめるように、
世界中のちっぽけな問題が
「まぁ、まぁ、同じ地球人なんだから...」の一言で解決し、
世界中の人たちが協力して、もっと大きな
全人類的な問題を解決できるような世の中になれば良いな、
と私は思っています。


※1 「京論壇」のホームページ
http://jingforum.org/jp/index.html

※2 「京論壇2011公式ブログ」
http://jingforum11.blog.fc2.com/


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2011年11月4日(金)

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