第1398回
インターネット非利用者を狙う中国ネット通販各社

より良いモノをよい安く買えるネット通販。

今や中国ではネット通販を
利用している人と利用していない人の間の
デジタルディバイド(情報格差)によって、
同じ商品でもその購入価格に
大きな差が生まれてしまっています。

それでは、まだネット通販を利用していない
レイトマジョリティ(後期追随者)や
ラガーズ(遅滞者)の人たちは、
同じ商品でも高い値段で
買い続けなければならないのでしょうか?

いいえ、そんなことはありません。
ネット通販各社は彼らが
ネット通販を使い始めるのを待つのではなく、
彼らがネット通販のサービスを
実店舗で利用できるような対策を取り始めています。

ネット通販最大手の淘宝網(たおばおわん)は、
インターネットを利用していない消費者向けに
ネット通販を代行する実店舗
「淘宝線下代購点
(たおばおしぇんしゃーだいごうでぃえん)」
の拡大を図っています。
これは淘宝網が住宅街の中にある
食品店やスーパーなどと提携し、
そうした実店舗が
インターネットを利用していない消費者の代わりに、
淘宝網でモノを買ってあげる、というサービスです。

「淘宝線下代購点」の取扱高は2011年7月に初めて
単月で1,000万元(1.2億円)を超えたばかり、
とまだまだ小さいですが、
提携実店舗は沿海部を中心に既に全国で1,500店舗、
今後は重慶市を皮切りに、
インターネット非利用者の比率が大きい
内陸部で重点的に展開していくのだそうです。

中国のインターネット利用者数は現在約5億人。
この数は今後も急速に伸びていくことが見込まれていますが、
残りの8億人全てに行き渡るまでは
やはりかなりの期間がかかることが予想されます。
淘宝網の戦略は、国民全員への
インターネットの普及を待つのではなく、
実店舗を利用して
8億人のマーケットを積極的に取りに行こう、
ということなのでしょう。

中国のネット通販業界は、
これからも中国市場独特の事情に合わせて、
独自の進化を遂げていきそうです。


←前回記事へ

2011年9月21日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ