第1378回
中国共産党の腐敗撲滅対策はどうして手ぬるいのか?
中国共産党組織部によれば、
同党の党員数は2010年末に8,027万人に達し、
前年末比で227万人増えたのだそうです。
一方で昨年1年間に離党した人は3万2,000人で、
その大半が汚職による除名だったのだそうです。
「8,000万人のうちの3万人なら
大した数じゃないじゃないか」
と思われるかもしれませんが、
中国では腐敗が摘発されるのは
権力闘争に負けた人と相場が決まっており、
権勢を保ち続けながら甘い汁を吸っている腐敗党員は、
不動産開発にからむ汚職で
数億元(数十億円)をせしめる大物から、
企業に難癖をつけて数千元(数万円)を
せびりに来る小物まで合わせると、
とてもこんな数では済まないものと思われます。
こうした深刻な腐敗を解決するには、
共産党員である役人から権力を剥奪して、
単なる法律の執行者に格下げしてしまえば良いのですが、
そうすると行政の事務が著しく滞る可能性もありますので、
実際には権限を分散させたり、
外部からのチェックを入れられるようにしたり、
といった方法を併用していくことになるのでしょう。
中国共産党には中央紀律検査委員会という
汚職を取り締まる部署があり、
この部署の権限と組織を大幅に拡大する
必要があると思われるのですが、
ここは「上に政策あれば、下に対策あり」の国・中国、
巧妙な抜け道を探し出して逃げ隠れする腐敗党員との
いたちごっこに陥る可能性が大きいですので、
やはり、汚職を厳しく取り締まるのと同時に、
汚職をできないシステムを作ることが
大切なのではないかと思います。
では、腐敗党員の汚職が、
中国共産党一党独裁体制の根幹を揺るがすことが
明らかに分かっているのに、
中国共産党の腐敗撲滅対策は
どうしてこうも手ぬるいのでしょうか?
「それは自らにも累が及ぶからだ」という
灰色もしくは黒色党員は論外としても、
汚職のおの字にも関係がない白色党員でさえ
腐敗撲滅に腰が引けるのは、
党内で不必要に敵を増やすのは必ずしも得策ではない
と考えているからではないでしょうか。
しかし、今の中国はもうそんな時代ではありません。
人民のために仕事をして人民の支持を得られなければ、
党内での出世はおろか、生き残ることさえできない、
というのは、徹底的な腐敗撲滅キャンペーンで名を馳せた、
重慶市の薄熙来党委書記が証明済みです。
何しろ、今の中国の最大の問題は、
権力を持った腐敗党員が
国民の機会平等を著しく損なっていることです。
中国共産党が人民の方を見ずに党内力学ばかりに固執して、
腐敗党員をいつまでも放置しているようであれば、
国民は自浄できない中国共産党に愛想を尽かし、
世論が大きく民主化に傾くのも
時間の問題なのではないでしょうか。
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