第1300回
「お茶スタンド」は本当に儲かるのか?

前回ご紹介した、
香港や上海で行列ができている「お茶スタンド」。
果たして北京でやっても採算が取れるのか?

疑問に思った私は、ざくっと計算をしてみました。

まずは初期費用。
「鼎茶」のホームページによれば、
中国大陸でのフランチャイズ加盟費は18万元(225万円)、
保証金は2万元(25万円)。
ここには店で使う機械や器具、看板などの
レンタル費用が全て含まれているようです。
ここに、原材料の仕入れ費用やお店の保証金、
内装費用などを合わせて
多目に20万元(250万円)と見積もっても、
全部で40万元(500万円)もあれば開業できそうです。

そして売上。
ずっと行列ができていれば、
1時間で60杯以上は売れると思うのですが、
控え目に1時間に半分の30杯売れるとして、
1日8時間で240杯/日。
平均単価を10元(125円)とすれば、
売上は1日2,400元(3万円)、
1ヶ月で72,000元(90万円)となります。

売上原価は販売額の30%として月21,600元(27万円)。
お店は人通りの多い道路に面したところにしたいので
賃料は高めになりますが、
20uほどの大きさがあれば十分ですので、
月10,000元(12万5,000円)もあれば借りられると思われます。
そして、働く人は個人所得税、社会保険料込みで
月3,000元(3万7,500円)の人を3人雇って、
交替で回せば良いので月9,000元(11万2,500円)。

とすれば、月の売上72000元(90万円)から
売上原価と経費の合計額40600元(50万7,500円)を引いた
月の経常利益は31,400元(39万2,500円)、
経常利益率は44%となります。

毎月31,400元の利益が確保できれば、
40万元の初期投資は13ヶ月で回収できることになります。
「鼎茶」のホームページによれば、
既存加盟店の初期投資平均回収期間は
10-18ヶ月とのことですので、
上記の試算は当たらずとも遠からず、
といった感じなのでしょう。

この業態のすばらしいところは、
持ち帰り専門で店内に座席がありませんので、
北京のような一般の物価に比べて家賃が異常に高いところでも、
家賃負担が少なく
損益分岐点を低く抑えることができるところです。
更に、お客さんが店内に入れないため、
2-3人並べば行列ができているように見え、
「流行っている店で買いたい」と考える人が多い中華圏では、
これによる広告効果も大きいのではないかと思います。

スターバックスでは「お茶スタンド」の
2-3倍の値段でコーヒーを売っていますが、
一等地の商業施設やオフィスビルの中に
100u以上の店舗を構えるための家賃負担は
非常に大きいのではないかと思います。
そう言った意味では、意外とスターバックスよりも
「お茶スタンド」の方が利益率が高い、
良いビジネスと言えるのかもしれません。


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2011年2月4日(金)

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