第1268回
北京でも有機野菜は手に入るのか?

「北京に住む日本人に安全な野菜を提供しなければいけない。
無ければあなたが有機野菜の商売を始めて提供しなさい」

これは私が北京日本人会の副会長として、
今年北京に着任された丹羽大使とお食事をさせて頂いた際に、
大使から頂いた宿題です。
伊藤忠商事でずっと食料部門を担当されてきて、
中国の食品事情に精通されている丹羽大使のお言葉だけに、
非常に重いものがあります。

私は早速、北京の有機野菜マーケットの現状を把握するために、
「北京でも有機野菜は手に入るのか?」というテーマで
調査を始めました。

まずは、青果売場をお持ちで、その道のプロである
イトーヨーカ堂さんに有機野菜を販売されているか
問い合わせてみました。

イトーヨーカ堂さんによれば、
北京のイトーヨーカドー各店の青果売場には
有機野菜コーナーがあり、
北京市郊外の順義区や密雲区の指定会社から仕入れた
有機野菜を販売されているそうです。
北京のイトーヨーカドー各店では有機野菜の他にも、
有機雑穀、有機飲料、有機調味料、
有機果物、有機蟹なども販売されており、
各商品には「有機商品指定マーク」が
付いているのだそうです。

どうやら食品のド素人である私の出番はなさそうです。

また、中国のインターネットの検索サイトで
「北京 有机蔬菜(ようじーしゅうつぁい、有機野菜)」
というキーワードで検索すると、
有機野菜や有機果物の宅配をしてくれる会社が
たくさん出てきます。
日本には既に有機食品を宅配してくれる
大手の会社が数社ありますが、
今のところ北京では中小の有機食品宅配会社が
乱立している、という初期的な段階にあるようです。

しかし、初期的段階と言っても、
たくさんの有機食品宅配会社が参入している、ということは、
有機食品に対する需要が急拡大している、ということです。
そうした宅配サイトの有機野菜の値段を見ると、
近所の自由市場で売っている野菜の
数倍の値段が付いているのですが、
中国では数倍の値段を払っても、
健康で長生きしたいと考える富裕層が増えているのでしょう。

人がお金持ちになって全てを手に入れた後、
手に入れたものを全て投げ打ってでも欲しいと思うのが
健康や不老長寿であることは、
秦の始皇帝の昔から変わっていません。
中国でも高度経済成長でお金持ちが増えるに従って、
「カネで健康や寿命が買えるなら、いくらでも払う!」
という人が増えてきているのかもしれません。


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2010年11月24日(水)

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