第1256回
求人:年俸1,250万円以上、募集人数153名
『求人:年俸1,250万円以上、募集人数153名。』
なんとも景気の良い話ですが、
これは遠い外国の話ではありません。
先月、東京で開かれた
人材募集説明会に出された
日本人人材に対する求人です。
この人材募集説明会は、
広東省深セン市の人的資源・社会保障局が
同市の企業関係者などを率いて日米を訪れ、
東京、シリコンバレー、ロサンゼルスの3ヶ所で開かれました。
募集人数は合計2,600人、
内、年俸100万元(1,250万円)以上の職が
153件あったのだそうです。
有力企業では中国平安保険(生保)、中興通信(通信機器)、
華為技術(通信機器)、BYD(電池・自動車)、TCL(家電)
などが参加したそうです。
市当局によれば、今回の人材募集説明会は、
地元企業による海外人材採用を支援し、
市経済の競争力強化につなげるために行ったものだそうです。
こうした話を聞くと、
中国の景気がいかに良いかがよくわかります。
マーケットはいくらでもあり、
会社はどんどん大きくなっていくのに、
それを支える人材の不足が
成長のボトルネックとなってしまっているのです。
一方の日本。
今日日、年俸1,250万円以上の求人など、
なかなか無いのではないでしょうか。
このままでは、
技術やノウハウを持った日本の優秀な人材が、
どんどん中国企業に流出していってしまいます。
今後日本企業は、辞めてもらっては困る
優秀な人材をつなぎ止めるためには、
既存の給与システムとは別枠で厚遇する必要が
出てくるかもしれません。
また、給料の多寡だけではなく、仕事自体の魅力でも
優秀な人材の中国企業への流出を食い止めるのは
難しくなってくるかもしれません。
高度経済成長でマーケットが
どんどん大きくなっている中国には、
新製品を開発したり、
新規のマーケットを開拓したりといった
前向きでチャレンジングな仕事が多く、
マーケットが既に成熟している日本にいるよりも
楽しい仕事ができる可能性が高いです。
そこで、自分が今まで培ってきた
技術やノウハウが活かせるとしたら、
中国企業で自分の持てる能力を存分に発揮したい、
と考える日本人が増えてもおかしくはありません。
こうした人材の流出を防ぐためには、
日本企業が中国マーケットへの進出を
加速させる必要があるのではないかと思います。
もちろん、業種によっては中国政府の規制により、
中国企業に太刀打ちできない日本企業もあるかと思われますが、
理論的には中国企業と同じことをすれば、
自社の優秀な日本人社員に
1,250万円以上の年俸を支払うことも可能なはずですし、
中国企業と同じような前向きでチャレンジングな仕事を
提供することもできるはずです。
自社の優秀な日本人社員を活かせる仕事を作ること。
これが今、日本企業に求められていることなのではないか、
と私は思います。
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