第1250回
中国人観光客需要の総取りを目論む中国企業

中国人観光客の日本旅行のメインの目的は、
現時点では買い物ですが、
今後、日本旅行の経験者が増え、
マーケットが成熟していけば、
観光など旅行自体を楽しむ人も
増えていくのではないかと思います。

実際、最近、ゴルフをするためだけに
日本に行く中国の人たちも増えている、
と聞いていますので、個人旅行の規制緩和に伴い、
今後、中国人観光客の日本旅行の楽しみ方も
どんどん多様化していくのではないかと思います。

そうした場合に問題となるのは、
いかに中国人観光客の人たちが
来たくなるような環境を作るか、ということです。

中国語対応、銀聯カード使用可は当たり前。
そこから更に一歩踏み込んで、
中国の人たちが喜ぶようなサービスを提供できるかどうかが、
差別化のポイントになるのではないかと思います。

日本人と中国人では、価値を感じるツボが違います。
日本人が多大なコストをかけてこだわっていることが、
中国人にとってはどうでも良いことであったり、
逆に、日本人がなにげなくしていることが、
中国人に大きな感動を与えたりします。

その辺の価値観は
日本人ではわからないところがありますので、
中国語を話せる日本人ではなくて、
日本語を話せる中国人の社員を
活用するのが良いのではないかと思います。
そう言った意味では、今後、
日本に留学している中国人留学生は、
卒業後、日本企業から
引く手あまたとなるのではないでしょうか。

しかし、そんなおいしい中国人観光客需要を、
したたかな中国企業が黙って指をくわえて
見ているはずはありません。

日本に進出、もしくは日本企業を買収して、
中国人観光客が喜ぶような
ツボを押さえたサービスを提供して、
中国人観光客需要を総取りしよう、という中国企業が
今後、多く出てくることが予想されます。

既に、中国の家電量販大手・蘇寧電器が買収して
免税店となった「LAOX」や、
在日中国人の方が経営している
食べ放題レストラン「太陽楼」などは、
中国人観光客が喜ぶ品揃えとサービスを提供して、
そうした需要をがっちり掴んでいると聞いています。

また、日本人観光客の減少で青息吐息の
日本のゴルフ場や温泉旅館を安く買収し、
中国人専用のサービスを提供して
中国人観光客を呼び込みたい、
という中国企業も多くあるようです。
中国人の気持ちは当然、
中国企業の方が良くわかっていますので、
ツボを押さえたサービスで、
日本企業から中国人観光客を奪うことなど
造作も無いことです。

中国人観光客の増加に沸く日本の観光業界。
しかし、中国人観光客需要を
後から来た中国企業に総取りされないためには、
日本企業は今から中国人社員の力を借りて、
中国人観光客が大きな価値を感じて喜ぶようなサービスを
早急に開発していく必要があるのではないか、
と私は思います。


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2010年10月13日(水)

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