第1201回
中国で子供襲撃事件多発!

5月1日から上海で万博がスタートしましたが、
その前後、中国では子供を狙った襲撃事件が相次ぎました。

3月下旬、福建省の小学校を元医師が襲い、児童8人を殺害。
4月28日、広東省の小学校に別の小学校の男性教諭が押し入り、
児童ら17人が刃物で襲われて負傷。
4月29日、江蘇省の幼稚園を失業中の男が襲撃、
園児と教諭ら計32人が負傷。
4月30日、山東省の小学校で農民の男が児童をハンマーで襲い、
児童5人が負傷。男はガソリンをかぶり、
児童2人を抱えたまま火をつけようとしたが、
教諭が児童を救出、男のみ焼身自殺。

5月3日、北京で陝西省出身の男が
5歳の女の子を刃物で脅して人質に取り、
ネットで知り合った女性を呼んでくるよう要求。
男はその女性に会うために北京に来たが、
会うことを拒否されたために逆上して凶行に及んだ。
男は狙撃手により射殺され、女の子は9針縫うケガ。
5月12日、陝西省の幼稚園で複数の若者が園児を刃物で襲い、
7人が死亡、少なくとも20人が負傷。

こうした事件が続くと、日本のマスコミは
「経済発展を象徴する国際都市・上海で
万博が華々しく開幕する裏で、
深刻化する貧富の格差などへの不満や恨みなどから、
社会的弱者である子供たちに報復の矛先が向けられたもの」
という伝え方をします。

しかし、貧富の格差が激しくなって自分は貧乏だから、
「銀行を襲う」とか、「金持ちを襲う」
ということなら理解できるのですが、
どうして「子供を襲う」ということになるのか、
私の中では今ひとつ腑に落ちません。
更に、犯人の中には元医師や小学校教諭など、
社会的地位があって「どうしようもなく貧乏」
というわけではないような人も含まれています。

こうして考えていくと、今中国では貧富の格差とは関係なく、
社会の各層でストレスが増大し、
ちょっとしたことで後先を考えずに子供を襲うような、
いわゆる「キレやすい人」が増えているのではないか、
ということが推測されます。
子供を襲っても何の得にもならないばかりか、
中国では1人でも人を殺せば確実に死刑になって
人生がそこで終わってしまうわけですから、
とても合理的な選択とは言えません。

以前の中国では、
犯罪の動機はほとんどがカネ目当てでしたので、
「カネを持っていそうな格好で外を歩かない」とか、
「治安の悪そうな場所には近寄らない」などの
対策を考えることができたのですが、
「キレやすい人」はどこにいるのかわかりませんので、
対策の取りようがありません。

日本でも9年前に
こうした学校襲撃事件が発生しましたが、
中国社会もいよいよそういう段階に入った、
ということが言えそうです。


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2010年6月21日(月)

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