第1160回
中国ネット販売はC to CからB to Cへ

当社の倉庫のお客さんの1社に
「京東商城(じんどんしゃんちぉん)」
という会社があります。

こう聞いて「へぇ〜、すごいですね」と反応された方は、
かなりの中国ネット販売業界通です。

「京東商城」は家電製品に特化したネット販売で、
過去5年間、年率300%という驚異的なスピードで
急成長をしている、今注目の会社です。
家電製品のネット販売では国内シェアの46.7%を占め、
今年2010年は100億元(1,300億円)の
売上を目指しているのだそうです。

従来、不信社会・中国では家電製品は店頭で買って、
動作確認をした上おカネを払うのが当たり前であり、
そうした習慣が「国美電器(ぐぉめいでぃえんちー)」や
「蘇寧電器(すーにんでぃえんちー)」など、
大規模店舗を持つ家電量販店の成長を支えていました。
しかし、店舗を持たないネット販売専業の京東商城の大躍進は、
中国の消費者が動作確認をしなくても
家電製品を買うようになった、ということを示しており、
わが世の春を謳歌していた家電量販店も
あわててネット販売に力を入れ始めているようです。

中国では現在、ネット販売が急速に伸びています。
しかし、2009年の時点では、
個人や個人商店が消費者に直接販売する
C to Cが全体の87%を占めており、
企業が消費者に販売するB to Cは
まだまだ発達していないのが現状です。

しかし、ネット販売先進国・アメリカでは、
「淘宝網」のような
C to Cの交易サイトを運営するイーベイが
将来の成長戦略を描けず株価が低迷しているのに対して、
物流・配送センター、コールセンターなど、
小売りとしてのすべての機能を保有し、
B to Cのビジネスを得意とするアマゾンは
高い株価を維持しているそうです。

中国のネット販売企業も
ネット販売先進国・アメリカでの動きを注視しているようで、
「淘宝」はC to Cの「淘宝網」とは別に、
2008年4月、B to Cのネットショッピングモール
「淘宝商城(たおばおしゃんちぉん)」を立ち上げました。
同社はC to CからB to Cへの
ビジネスモデルのシフトにかなり力を入れているらしく、
「淘宝網」でいろいろと検索をしていると、
うるさいぐらいにお客さんを「淘宝商城」に
誘導するための仕掛けが出てきます。

日本企業では2009年4月にユニクロが
「淘宝商城」に出店しました。
昨年10月にはネット上での単月売上が
1000万元(1億3,000万円)を超え、
それも売上の2/3がユニクロがまだ店舗を出していない
内陸部の消費者によるもの、ということで、
大成功を収めているようです。

まだまだ「淘宝網」のようなC to Cが主流の
中国のネット販売業界。
しかし、今後はネット販売先進国・アメリカのように、
「京東商城」や「淘宝商城」といった
B to Cのネットショッピングモールが
急速に伸びていくことが予想されます。


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2010年3月17日(水)

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