第1124回
「♪新しい上司は中国人〜♪」

今年も残りあとわずかとなって参りました。

2009年は中国にとっては
昨年の北京オリンピックと来年の上海万博という
2大国際イベントの狭間の年であり、
国際的には特に大きな動きはありませんでした。
しかし、それでも金融危機からのすばやい立ち直りや、
国際会議での存在感の増大などから世界からの注目を浴び、
「未来の超大国」としてのデビューを飾る年と
なったのではないかと思います。

また中国は実際、国内総生産(GDP)でも
早ければ今年、遅くとも来年には日本を追い抜いて
世界第2位の経済大国になるということもあり、
隣国・日本では「将来、経済的に
中国に飲み込まれてしまうのではないか」
という懸念が生まれているようにも見受けられます。

今年6月に日本で公開された、
NHKの同名の人気ドラマを映画化した「ハゲタカ」。

その設定は、日本の技術を手に入れることを狙う
中国政府系ファンドの意向を受けた、
中国残留孤児3世率いる投資ファンドが、
日本を代表する自動車会社・アカマ自動車の
株式公開買付(TOB)を発表し、
主人公率いる日系投資ファンドがホワイトナイトとして
アカマ自動車買収阻止に動く、というものでした。

テレビドラマ「ハゲタカ」が放映された
2007年の時点では、「ハゲタカ」と言えば
アメリカの「ハゲタカファンド」と相場が決まっており、
ドラマでもアメリカ系投資ファンドが
日本企業を買い叩くという設定でした。

しかし、その後の金融危機で
実社会でのアメリカ系投資ファンドは総崩れ。
そこで、今年公開の映画版では、
現実味を出すためにアメリカ系投資ファンドが
中国政府系ファンドになったようです。
こんなことからも、ほんのここ2年間の間に、
世界の情勢が大きく変化していることがよくわかります。

坂本九のヒット曲をウルフルズがカバーして歌った
「明日があるさ」という曲には、
欧米系企業に買収された日本企業のサラリーマンの立場を歌った
「♪新しい上司はフランス人〜♪」という歌詞がありますが、
この曲も次にカバーされるときには
「♪新しい上司は中国人〜♪」になるのでしょうか。


←前回記事へ

2009年12月23日(水)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ