第1114回
1階部分が888階のマンション
中国では8(ぱー)は
「発財(ふぁーつぁい、金持ちになる)」の
「発(ふぁー)」と発音が似ていることから
最も人気のある数字です。
また、6(りゅー)は
「溜(りゅー、物事が滑らかにうまくいく)」と
発音が同じなので、8に次いで人気があります。
このため、中国では車のナンバーや携帯電話番号の中に
8や6がたくさん入っているものは、
縁起が良いということで、高値で取り引きされています。
ちなみに、私の携帯電話番号は11ケタのうち、
1が7つ、7が2つという非常に揃った番号なのですが、
8も6も入っていませんので、
たったの300元(3,900円)で買えました。
中国ではこうした揃った番号よりも、
他はバラバラでも8が1つでも入っていれば、
ずっと高値が付くのです。
一方で最も忌み嫌われる数字は4です。
これは日本と同じで4(すー)の発音が
「死(すー)」と同じだからという理由です。
このため、北京のマンションの中には
4階や14階がないマンションもあります。
4階や14階の部屋は嫌がる人が多いので、
売れ残ってしまうリスクがあるからでしょう。
そんな中、先日香港で、40階建てであるにも関わらず、
最上階を「88階」として売り出されたマンションが
物議を醸しています。
このマンションは
ミッドレベル地区の高級マンション「天匯」。
最上階は普通にいけば40階ですが、
縁起の悪い4が入っていますので
最高に縁起の良い「88階」に変えたようです。
また、その下の39階は「68階」と呼ばれるのだそうです。
このため「天匯」の上3階を上がっていくと、
「38階」→「68階」→「88階」と
ものすごい勢いで階数がインフレを起こしています。
確かに、「68階」と「88階」は、
普通に39階、40階と呼ぶよりは随分高く売れそうです。
市民からは「消費者を混乱させる」とか、
「1階部分を888階と称しても良いのか」
などという批判が出ていますが、
開発会社である不動産大手・恒基兆業地産
(ヘンダーソンランド・デベロップメント)の李兆基会長は
「顧客心理に合わせたもので、だましているわけではない」
と反論しています。
いかにも縁起が良いことを重視する中国人らしい考え方ですが、
これがエスカレートして本当に
「1階部分が888階」などというマンションが出てくると、
郵便局や宅配会社の人がものすごく困りそうです。
社会全体の効率を考えた場合、
縁起を担ぐのもほどほどにした方が良さそうです。
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