第1105回
「網民」またもお手柄
先日、世界遺産に登録されている
甘粛省敦煌の莫高窟(もうがおぐー)で、
壁画に触らないように注意されたことに腹を立てた中年女性が、
観光ガイドを平手打ちする事件が発生しました。
莫高窟は五胡十六国時代の4世紀から元の時代まで
約1000年にわたって彫り続けられた仏教遺跡で、
600あまりの洞窟に2400あまりの仏塑像が安置されています。
その中年女性は莫高窟の中で、触ることが禁止されている
約1000年前の壁画に手を触れたため、
観光ガイドが注意したところ、
女性は「私に何か言った?」とすごみ、
ガイドの顔を平手打ちにした、とのことです。
その後、駆けつけた警察に対し、女性とその夫は
「ガイドの方が暴力を振るった」と主張。
そして夫は「われわれはそれなりの地位のものだ。
事を荒立てない方がいい」などと言っていましたが、
翌日、警察が目撃者を探し出すと、ようやく罪を認めました。
その後、この夫婦が乗っていた公用車のナンバーがネットに流出、
「網民(わんみん、ネット市民)」による
「人肉捜索(れんそうそうそう、人力ネット捜索)」の結果、
夫は新疆ウイグル自治区で開墾や辺境防衛を担う
新疆生産建設兵団の副団長、妻は兵団所属の医師、
という中国共産党幹部であることが瞬く間に判明しました。
このため、ネット上では中国共産党幹部である夫婦の
一連の傍若無人な言動に非難が集中。
ネットで事件を知った同兵団は調査を行い、
両人の懲戒免職を公表しました。
注目すべきはそのスピードです。
「人肉捜索」により犯人が中国共産党幹部であることが判明し、
「網民」が非難を集中させているのを
同兵団が発見したのが事件の3日後、
そして3日間の調査の結果、
両人を懲戒免職にしていますので、
事件発生から懲戒免職まで6日間しかかかっていません。
「網民」が「人肉捜索」で犯人を特定して
騒ぎ出すのも早いですが、
同兵団の決断の早さにも目を見張るものがあります。
ネット上での「網民」の非難が
対応の遅れによっていわゆる「炎上」状態となり
抑えきれなくなることを
いかに中国共産党が恐れているかがよくわかります。
中国にはこの夫婦のように、
自分がエラいと勘違いしている中国共産党幹部が
まだまだたくさんいます。
今まで闇から闇へと葬り去られていた中国共産党員の横暴を、
白日の下に曝け出す「網民」の活躍は、
今後もこうしたバカ党員を撲滅するために
大きな役割を担っていくのではないかと思います。
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