第1094回
「黒社会」の撲滅はよそ者に

普通に生活していると見かけることはありませんが、
中国にも暴力団はあります。
中国語では「黒社会(へいしゃーほい)」と呼びます。

中国の「黒社会」は益々その勢力を拡大しているようですが、
その背景には「黒社会」の幹部が
日本で言う県議会議員になったり、
地元の警察幹部が「黒社会」の後ろ盾になって
その活動を助けたり、といった、
日本ではちょっと考えられないような事実があるようです。

重慶市は今年6月から「黒社会」撲滅キャンペーンを実施し、
今までに幹部100人以上を含む
約1500人を拘束したのだそうです。
拘束された幹部の中には、日本の県議会議員に当たる
重慶市人民代表大会の代表も含まれていました。
その幹部は交通、不動産など20社以上の企業を経営しており、
組織的な暴力を使って事業を拡大していたのだそうです。

また、重慶市当局は「黒社会」の後ろ盾になっていたとして、
重慶市司法局長の文強氏を含む警察幹部6人を拘束しました。
文強氏は司法局長になる以前、16年間にわたって
日本の県警副本部長に当たる重慶市公安局副局長を務めており、
その在任期間中に立場を悪用して「黒社会」と内通し、
私腹を肥やしていたようです。

今回の重慶市の「黒社会」撲滅キャンペーンは、
重慶市のトップ・薄熙来党委書記(党政治局員)が
自ら指揮したと言われています。
同氏はかつて省長を務めた遼寧省から、
「黒社会」対策のエース・王立軍氏を招聘し公安局長に任命、
「黒社会」の徹底的な摘発を行いました。

重慶市民は今回、
キャンペーンを指揮した薄熙来党委書記を絶賛、
逆に今まで「黒社会」を放置してきた過去の指導者を
痛烈に批判しているようです。

今回のキャンペーンで分かったことは、
「黒社会」や汚職の撲滅はよそ者でなければできない、
ということです。

以前北京でも、
朝陽区のカラオケは東城区の公安が、
東城区のカラオケは西城区の公安が取り締まる、
というキャンペーンを行ったところ、
摘発件数が飛躍的に伸びた、という
笑うに笑えない話がありました。
地元出身の県警副本部長が
16年間も「黒社会」と内通していたら、
「黒社会」の撲滅などできっこないのです。

「黒社会」との関係を含む共産党員の汚職は
中国のアキレス腱です。
中国共産党には頻繁な人事異動によるよそ者の活用により、
党内の徹底的な浄化をしてほしいものだと思います。


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2009年10月14日(水)

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