第1085回
中国で早くもバブル再発生
昨年9月のリーマンショックから約1年。
他の国よりも傷は浅かったとは言え、
その後の世界的な金融危機の後遺症が
まだ完全に癒えていない中国で、
早くもバブル再発生です。
中国の今年1-3月の国内総生産(GDP)の伸び率は
前年同期比6.1%とかなり落ち込みましたが、
4-6月は7.9%と大幅に改善、
この調子で行けば2009年通年では、
中国政府が「保八(ばおぱー)」というスローガンを掲げ、
死守しようとしている8%成長を確保できるのではないか、
という見方が広がっています。
しかし、その経済成長の中身は
投資が毎月30%近く伸びているのに対し、
消費は横ばい、輸出は減少と、
かなりいびつな形になっています。
この原因は、中国政府が金融危機対策として行った
大規模な財政出動や金融緩和政策がカネ余り現象を起こし、
その余った資金が一般庶民の懐ではなく、
株式や不動産などの投資市場に流れ込んでいるためです。
中国の人民元融資増加額は、
中国政府の年間目標が5兆元(70兆円)であるにも関わらず、
今年上半期だけで7兆7300億元(108兆円)に達しています。
中には中国政府の金融緩和政策の錦の御旗の下、
本店が各支店に融資額のノルマを課す銀行もあるようです。
そして、そのノルマを達成できず、
本店から問題視されることを恐れた支店が、
地元企業に対してむりやり融資を行い、
必要以上の資金を手にした企業が
その資金を株式投資や不動産投資に流用する、
ということも行われているようです。
このため、先日、中国の研究機関が発表した
2009年上半期の「中国不動産バブル度報告書」によれば、
浙江省・温州市を筆頭に国内16都市の不動産価格に
バブル感が存在するとの結果が出ています。
また、上海の株式市場は昨年11月の1700ポイントから
今年7月には2倍の3400ポイントまで急騰しました。
中国政府はこのバブル再発生に対しても、
一貫して「金融緩和政策を堅持する」としていますが、
国民は全く信用しておらず、
市場では常に金融引き締め政策への転換が
うわさされています。
そして、株式に投資をしている人たちは
「バブルババ抜き」という名のゲームで
ババが手元に残らないように、
金融引き締めのうわさが出たり引っ込んだりするたびに、
手元の株を売り浴びせたり買い戻したりしますので、
株価が乱高下する荒っぽい展開が続いているのです。
長期投資をして中国の将来の発展を
じっくり待つつもりの人はいいですが、
短期投資で利ざやを稼ごうとしている人は、
今の中国の株式や不動産の価格が、
実体経済の回復が伴わない
「金融緩和バブル」の状態にあり、
バブルが弾けるリスクが常にあることをよく認識して、
投資をする必要があるのではないか、と思います。
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