第1082回
潜在長寿国・中国
今の中国の人たちの平均寿命は73歳なのだそうです。
建国直後の1950年代初頭は
平均寿命が40歳だったそうですので、
中国の人たちは急速に長生きになっていると言えそうです。
この平均寿命、
世界一の長寿国である日本の83歳と比べると、
まだまだ10歳の開きがあるのですが、
今後、医療と衛生の問題が更に改善されれば、
日本を超える長寿国になるのも
夢ではないのではないかと私は思います。
なぜなら、中国は長寿国になる素質を持っているからです。
まず、中国社会は非常に「ユルい」、低ストレス社会です。
基本的に残業、休日出勤はなし。
子供の学校への送り迎え、同居している親の神経痛、
天井からの雨漏り、家の改装などなど、
ちょっとしたことが全て、遅刻や欠勤の理由として通ります。
仕事中もベストを尽くせば、
納期が遅れようが、損失を出そうが、
「没弁法(めいばんふぁー、仕方ない)」の一言で
済んでしまいますので、
仕事でプレッシャーを感じる必要がありません。
「♪サラリーマンは〜、気楽な稼業と来たもんだ〜♪」
でお馴染みの「日本一の無責任男」、
平均(たいらひとし)を地で行くような働きっぷりです。
私も中国に来た当初は、
この「ユルい」働きっぷりにずいぶん悩まされましたが、
日本で激務が原因で過労死する人が増えている、
というようなニュースを聞くと、
「ユルい」働き方で会社や社会が回っていくのならば、
「ユルい」ままで長生きした方がよいのではないか、
と思うようになりました。
また、中国の人たちは日常生活における
健康に対する意識が非常に高いです。
さすがは「医食同源」の国だけあって、
みなさん「これを食べると体が冷える」とか、
「これを食べると上火(しゃんふお、体の中に熱が溜まる)する」
などという食べ物についての知識が驚くほど豊富です。
また、日本では最近、
「体温を上げると健康になる」という本が
ベストセラーになっているようですが、
中国では昔から体を冷やさないのは健康に暮らすための常識で、
今でもビールやコーラを常温で飲む人がたくさんいます。
これらの健康的な習慣は、中国の人たちの寿命が
つい最近まで非常に短かったことにも関係があるように思います。
ストレスのない職場で気楽に仕事をして、
体の状態に合った食事をしなければ早死にしてしまう、
という危機意識がこうした体に良い生活習慣を
根付かせたのかもしれません。
そう言った意味では、
日本人も仕事のやり方をもっと「ユルく」して、
健康に対する意識を今まで以上に高めれば、
更に長寿になる余地は
まだまだ残されているのではないかと
私は思います。
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