第1050回
今、中国で自動車が売れまくっています

今、中国で自動車が売れまくっています。

この金融危機の不景気の時に
何を寝ぼけたことを言っているのか、
と思われるかもしれませんが、
実際に中国の自動車業界は、
需要に生産が追い付かなくて
うれしい悲鳴を上げているようです。

日産自動車の中国合弁会社・
東風汽車有限公司(湖北省武漢市)の中村総裁によれば、
今年1-5月の同社の乗用車販売台数は
18万台と前年同期比41%増。
5月は同55%増と特に大きな伸びを記録したそうです。

このため、同社の在庫はゼロ、
生産が需要に追い付かない状態にあるため、
日本国内の工場から部品を
優先的に回してもらっているのだそうです。

この状態は日産に限ったことではなく、
今年1-5月の全国の乗用車販売台数も、
日産ほどではないですが前年同期比30%も増えています。

この原因は中国政府が景気刺激策の一環として、
小型車購入に優遇税制を適用するなどして
自動車業界を支援したことにあります。
しかし、中村総裁は「需要は戻っており、
購買層が広がっている。刺激策がなくなっても、
需要が大きく落ち込むことはない」と見ており、
同社は現在350店ある中国国内の販売店を、
乗用車の需要が急激に伸びている中規模都市を中心に
年内に更に30店増やす方針であるとのことです。

何だか金融危機による不景気の真っ只中とは思えない、
いけいけどんどんな話です。

この状況から読み取れるのは、
中国全体が全て不景気になってしまったわけではない、
ということです。

確かに、報道されているように
かつての「世界の工場」の中心地、
広東省の労働集約型輸出工場の多くは
倒産や廃業に追い込まれ、
その工場で働いていたたくさんの農民工(のんみんごん)が
職を失って故郷の内陸部に帰っていきました。

しかし、内陸部の会社や輸出とは関係のない会社は、
あまり今回の金融危機による
不景気の影響を受けていないようです。
実際、私は北京で中国企業の人に会う度に
「金融危機の影響はどうですか?」と訊いているのですが、
「うちはそれほどでも...」とか、
「おかげさまで全く...」という人が多いです。

中国全体の成長率としては
今年は8%成長が確保できるかどうか、
というところまで落ち込んでいるのですが、
実際は景気の良い企業と景気の悪い企業が
まだら模様のように混在しているようです。

そして、景気の良い企業の人たちが
「金融危機と言われているけれど、
うちはあんまり関係ないなぁ」などと言いながら、
自動車を買っているのではないでしょうか。


←前回記事へ

2009年7月3日(金)

次回記事へ→
過去記事へ
ホーム
最新記事へ