第1008回
中国の役人の汚職がなくならないワケ
いつまで経ってもなくならない、
中国の役人の汚職。
共産党中央は国家の安定を脅かし、
中国を崩壊に導く可能性が最も高いのは、
「亡命チベット人」でも「ウイグル独立派」でも
「法輪功」でもなく、
他でもない「共産党員」であることを十分承知しており、
共産党員である役人の汚職には厳罰をもって臨んでいます。
しかし、それでも汚職がなくなる気配はなく、
国民の頭の中でも「役人=汚職」という図式は
既に定着してしまっています。
このため、中国国内で
年間9万件も発生していると言われている民衆の暴動も、
そのターゲットは決まって人民政府の建物か警察署です。
民衆はいくら生活が困窮しても、
役人が民衆のためを考えて
一生懸命に働いてくれているのならば、
役人を襲おうなどという発想にはならないと思います。
「オレたちの生活がこんなに苦しいのに、
汚職で甘い汁を吸って自分たちだけがいい生活をしている
悪徳役人をやっつける」という「大義」があるからこそ、
数万人もの人がその主旨に賛同して
大規模な暴動が起こるのではないでしょうか。
では、なぜ中国ではいつまで経っても
役人の汚職がなくならないのでしょうか?
それは、中国では役人の位置付けが
他国とは違うところにあると私は見ています。
日本など他の国では役人は単なる「法の執行者」であり、
法律に従って淡々と事務をこなすだけの存在です。
しかし、中国の役人は「法の権限者」であり、
法の執行の度合いを決める大きな権限が与えられています。
中国は「上に政策あれば、下に対策あり」の国であり、
中国政府は法律の抜け穴を
くぐり抜ける人が出てくることを想定して、
法律を異常に厳しく作っています。
法律があまりに厳しくて全ての人に法律を
100%守らせていては国が回りませんので、
現場の役人がケースバイケースで
「例外」とか「特例」という形で許認可を出したり、
目こぼしをしたりすることによって
法律と現実のギャップを埋めているのです。
逆に言えば、役人にとっては、
目こぼしを「しない」という権限を行使したり、
あいまいな条項を思いきり悪意をもって
解釈したりすることによって、
気に入らない中小企業の1つや2つ、
倒産に追い込むことなど造作もないことです。
この役人に与えられている強大な権限に対し、
彼らの給料は人民への奉仕者、
パブリックサーバントとして非常に低く抑えられていますので、
「この強大な権限を、何とか現金化できないものか」と考え、
生殺与奪権をちらつかせながら、
企業に金品をたかる
不届きな役人が出てくるのも無理からぬ話です。
中国の役人の汚職を根絶するためには、
厳罰をもって臨むだけではなく、
法律を現実的なものに変えて、
役人から「法の権限者」としての権限を取り上げ、
単なる「法の執行者」に格下げするという、
抜本的な改革が必要なのではないか、と私は思います。
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