第964回
日本企業の「ガラスの天井」
一般の中国人には就職先として
まずまずの評価を得ている日本企業ですが、
実際に日本企業で働いている人たちは
どのように思っているのでしょうか。
先日、産業能率大学国際経営研究所が
中国に進出している日本企業で働く
中国人スタッフを対象に行った意識調査によれば、
彼らは「高い給料は期待できないものの、
日本人の働く姿勢など日本企業で学ぶべきことは多く
プラスになる」と考えているようです。
「日本企業に勤めて良かった点」は
「日本人の仕事に対する態度を学んだ」が68%、
「日本企業のイメージ」は「製品が良い」54%、
「まじめ」46%、「強いチームワーク」44%と、
日本企業の技術力や日本人の働く姿勢は高く評価されています。
一方で、「日本企業に勤めて困った点」は「給料が低い」、
「コミュニケーションが取りにくい」がそれぞれ3割以上、
「日本企業のイメージ」でも「保守的」29%、
「上下関係がはっきりしている」29%、
「昇進するチャンスが少ない」26%と、
日本企業の硬直的な企業文化や
昇進の可能性、給料などの処遇には不満があるようです。
日本企業は従来、
日本から日本人駐在員を送り込んで要職に据え、
地元の中国人スタッフには
日本人駐在員の通訳や出張アテンドなど、
補助的な仕事を多くさせてきました。
それがここ数年、日本企業も
中国人スタッフに大きく権限を委譲する欧米企業を見習って、
ずいぶん変わってきたと言われているのですが、
上記の調査結果を見た限りでは、依然として
「日本人駐在員:メイン、中国人スタッフ:サブ」
という構図は変わっていないように思えます。
中国に進出している日本企業には
「ガラスの天井」があると言われています。
いくら優秀な中国人スタッフでも、
ある程度まで昇進すると「ガラスの天井」にぶつかって
それ以上上に行けなくなり、
その「ガラスの天井」の上には3-5年周期で
日本から現場のことを何も知らない
日本人駐在員が派遣されてくるのです。
これでやる気を出せという方が間違っています。
ちなみに、上記の調査で
「転職を考えているか?」という質問に
「考えている」と回答した人は35%に止まり、
65%は「考えていない」と答えました。
この結果が逆転してしまう前に、
日本企業は中国人スタッフの位置付けを
根本から変える必要に迫られているのではないでしょうか。
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