第890回
中国の輸入ビジネスに注目!

最近、私が注目しているのは、
中国の輸入ビジネスです。

数年前まで、
外国の商品を輸入してきて中国で販売する、
というビジネスは、
一部の高付加価値品を除くと非現実的でした。
なぜなら、外国の高い人件費をかけて作られて、
更に高い運賃を払って遠路はるばる
中国まで持って来られた商品の価格は、
中国の人たちの購買力を
はるかに超えてしまっていたからです。

このため、外国企業が
中国マーケットで自社の商品を売りたいと思ったら、
自国から持って来るのではなく、
中国の安い人件費で作って、
運賃がかからない地元のマーケットで売る、
というのが常識でした。
日本企業を含む外国企業が、
安い労働力が無尽蔵に手に入り、
尚且つ巨大な購買力を持つ消費地に近い
長江デルタや珠江デルタに
こぞって工場を建設したのもこうした理由からです。

しかし、ここ2、3年で中国経済の風向きは
180度変わってしまいました。

無尽蔵に手に入ると思っていた安い労働力が、
実は無尽蔵ではなく、
ブルーカラー人材の不足が顕著になってきました。
これにより、外国企業が作った中国工場の人件費が
大幅に上昇しました。

更に、2005年7月の切り上げ後、
人民元は一本調子で元高の方向に進み、
現在は1米ドル=6.9人民元前後まで高くなっています。
切り上げ前のレートは1米ドル=8.28人民元でしたから、
約3年で17%近く元高になったことになります。
これは中国では輸入品が3年前より
17%安く買えるようになっていることを意味します。

こうした中国の経済環境の変化により、
今までは非現実的だった中国の輸入ビジネスが
徐々に現実的なものとなってきました。

とは言え、現時点ではほとんどの商品が、
やはりまだ中国国内で生産した方が
圧倒的にコストが安いのが現状です。

しかし、逆に言えば、
現時点の比較的高い値段でも売れる輸入商品は、
今後、中国の生産コストの上昇や、
人民元高の進行を追い風に、
どんどんマーケットを広げていく
可能性が大きいのではないか、と私は思います。


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2008年6月27日(金)

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