第850回
赤信号だけど車は来ない。あなたは渡りますか?
交差点の信号は赤信号だけれども車は全く来ない。
こんな状況に遭遇したら、
あなたは赤信号でも道を渡ってしまいますか、
それとも青信号になるまで待ちますか?
大多数の中国の人たちは、
赤信号で車が来ていても渡ってしまいますので、
これは論外としても、
車が来ていないのに次の青信号まで待つ、
と答える人が多いのは、
世界広しと言えども日本人だけなのではないでしょうか。
以前の私は、
この融通のきかない日本人特有のルール至上主義が、
イヤでイヤで仕方がありませんでした。
外国に行けばどこでも、人は自己責任で道を渡る。
これに対し、日本人は全く頭を使わず、
赤なら止まる、青なら渡る。
こんな思考停止状態では、
日本人は外国人と競争をしたら、
ひとたまりもなく負けてしまう。
日本人はルールに縛られることなく、
もっと自分の頭で考えて、
自己責任で行動すべきだ、
というのが当時の私の考え方でした。
しかし、中国に来てから私の考え方は変わりました。
「全員がルールを厳格に守る」ということは、
日本人が持つ大きな特長の一つであり、
日本人が今後グローバル化する世界の中で生き残っていくための
競争力の源泉になりうるものである、
ということに気付いたのです。
私は中国で起業をしてから、
「日本人である自分にしかできないことは何か?」
ということを常に考えさせられてきました。
なぜなら、中国の人たちでもできることをすれば、
すぐにマネをされて、
果てしない価格競争に巻き込まれてしまうからです。
月に1万元(15万円)も利益が出れば
万々歳の人たちと価格競争をして、
勝てる見込みはありません。
そうした価格競争に巻き込まれないためには、
例えマーケットは小さくても、
中国の人たちにはマネのできない
付加価値の高い商売をする必要があります。
中国の人たちにはマネのできない商売とは即ち、
日本人である私が元来持っている
「サービス精神」、「完璧主義」、「生真面目さ」
などを生かした商売です。
「ルールを厳格に守る」ということも、
外国人との差別化という観点から見れば、
日本人が捨ててはいけない大きな特長の一つである、
と私は思うのです。
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