第811回
引越業務のマクドナルド化

引越、というのは、非常にローテクな仕事なのですが、
日本の「引越らくらくバック」のように、
荷物が壊れないように梱包する作業に関しては、
ある程度の熟練が必要となります。

人手不足の外運華通は、未経験者を雇って、
なるべく早く一人前に育て上げなければなりません。
しかし、従来の徒弟制度では、
親方が新人をみっちり鍛えて一人前にするまでに
数ヶ月はかかってしまいますし、
サービスの質にもばらつきが出ます。

そこで、現在、外運華通が取り組んでいるのが、
「搬家業務的麦当労化
(ばんじゃーいえうだまいだんらおほあ)」、
引越業務のマクドナルド化です。

これは、過去のお客さんのクレームや、
当社の日本人スタッフの視点から見た改善点などを盛り込んで
引越作業を細かく規定したマニュアルを作成、
引越作業員に対して定期的に筆記、実技の試験を行って、
その結果によって等級を決め、
給料の額はその等級によって増減する、というものです。

こうすれば、未経験の新人が一人前になる速度も速まりますし、
誰がやっても同じレベルのサービスを提供することができます。
客観的な基準によって給料が決まりますので
不公平感もありませんし、
作業員の間で良い競争関係が発生することも予想されます。

こんなことは日本の会社では当たり前なのかもしれませんが、
中国の元国有企業にとっては、画期的な試みなのです。

この制度の導入に当たっては、20年以上前、
大学生だった私が日本のマクドナルドのお店で
アルバイトをしていた時の経験が非常に役に立っています。

当時は時給3,000円で家庭教師のアルバイトをしている
友人たちを横目で見ながら、
「これも社会勉強のため」と割り切って、
時給540円の重労働に耐えていましたが、
20年後の現在、その時の体験は、
時給3,000円の数十倍、数百倍の価値を生み出しています。

やはり、若い頃のアルバイトや仕事は、目先の給料よりも、
得られる経験や積めるキャリアで選ばなきゃいかんな、
と改めて思いました。


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2007年12月28日(金)

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