第805回
「黄金周は疲れるだけ」
中国は現在、1年に3回の
「黄金周(ほぁんじんちょう、ゴールデンウィーク)」
があります。
その3回とは、
2月の「春節(ちゅんじえ、旧正月)」、
5月の「労働節(らおどんじえ、メーデー)」、
10月の「国慶節(ぐおちんじえ、建国記念日)」で、
それぞれ7日間の連休となります。
私、個人的には「仕事でちょっと疲れたな〜」と思っていると、
どかんと7連休が来てリフレッシュできるので、
土日を絡めた3連休が分散している
日本の国民の休日よりも好きなのですが、
今中国ではこの「黄金周」を見直す動きが出て来ています。
そもそもがこの「黄金周」、
旅行産業を始めとする国内の消費を刺激するために
1999年に始められました。
しかし、この8年間で中国はどんどん豊かになり、
「黄金周」に旅行をできるぐらいの所得を得る
中産階級が急増しました。
そして、そうした人たちが
「黄金周」に集中的に旅行をするため、
今では「黄金周」の度に
国内が大混乱に陥るようになりました。
今年の「国慶節」の連休には、
中国国内で延べ1億4,600万人が旅行に出かけたと言われ、
交通機関はパンク状態、観光地は人であふれかえり、
「黄金周は疲れるだけ」とぼやく人も多かったそうです。
このため中国政府は、
先祖の霊を供養する4月初旬の「清明節(ちんみんじえ)」、
憂国の詩人・屈原を偲んでちまきを食べる
旧暦5月5日の「端午節(どぁんうーじえ)」、
家族一緒に十五夜の満月を見ながら月餅を食べる
旧暦8月15日の「中秋節(ちょんちょうじえ)」の
3日を新たに法定休日に指定し、
「労働節」の「黄金周」をなくすことを
検討しているのだそうです。
こうした中国古来の祝日を法定休日に指定する背景には、
民族主義発揚を主導して
「中国=中国共産党」という図式を更に強固にする、
という中国政府の思惑もあるようです。
国内の混乱を回避するために
連休を減らそうとしている中国。
国内の旅行産業振興に力を入れている国から見れば、
うらやましい限りの状態ですが、
今回の一件は、国民の1割強が
旅行に出ただけでこれだけの混乱が起こる
中国消費経済の潜在力のものすごさを物語る、
良い例なのではないでしょうか。
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