第791回
中等収入国家・中国
中国国家統計局の発表によれば、
2006年の中国の1人当たり
国民総収入(GNI)は2,010ドルとなり、
世界銀行の基準で「低収入国家」から
「中等収入国家」に昇格したのだそうです。
しかしながら、
世界の国々の中でこの数字は129位であり、
まだまだ下から数えた方が早い
という状況に変わりはありません。
1人当たりの年間総収入が2,010ドルということは、
月収2万円前後ということですから、
順位が低いのも仕方がありませんが、
とても今年中にドイツを抜かして
国内総生産(GDP)世界第3位となる
経済大国の話とは思えません。
人口が多いと、
国としての経済規模と1人1人の豊かさに、
こんなにも大きなギャップが出るんですな。
中国は2010年代には日本を、
2035年前後にはアメリカを抜いて、
世界最大の経済大国となることが予想されていますが、
これはある意味当たり前のことです。
中国は人口が日本の10倍あるわけですから、
GDPが日本の10倍になって初めて、
1人当たりのGDPが日本と同じになり、
中国人全体が日本人と同程度の
生活レベルを享受することが可能になるのです。
ただ、中国は超格差社会ですので、
こうした平均値で中国を見ることには
あまり意味がありません。
同じ中国人でも、
金持ちはプールやジムなどが完備された高級マンションで
近代的な生活を送っていますが、
貧乏人は窯洞(やおどん)と呼ばれる横穴式住居で、
ガスも水道もない原始的な生活をしています。
最近、格差の拡大が叫ばれている日本でも、
これほどの大きな格差はないのではないでしょうか。
こんな国ですので、中国でモノを売ろうと思ったら、
「誰に売りたいのか?」をはっきりさせることは、
日本でモノを売るとき以上に重要です。
1人当たりのGNIが2,010ドル「しか」ないのに、
50万ドルのロールスロイスが世界で一番たくさん売れたり、
1人当たりのGNIが2,010ドル「も」あるのに、
1ドルの石鹸が全く売れなかったりするのが、
今の中国マーケットなのです。
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