第780回
中国人に仕事を奪われる日本のホワイトカラー

先日、私の友人である
北京のソフトウェア開発会社の社長に会って
話をしてきました。

同社は国内外の様々な企業の
ソフトウェア開発をしているのですが、
海外のソフトウェア開発会社や
コンサルティング会社からソフトウェアの開発を受託する、
アウトソーシングの仕事もしているそうです。

ソフトウェア開発の世界では、
今やインドが中国の何歩も先を進んでいますが、
社長は同社が「中国のインフォシス」と
呼ばれるようになることを目指して、
日夜、努力を続けているのです。

さて、同社が今、
最も力を入れている分野の一つが
BPOなのだそうです。
BPOとはビジネスプロセスアウトソーシングの略で、
企業が自社の業務処理(ビジネスプロセス)の一部を、
情報システムも含めてまるごと外部の会社に
委託(アウトソーシング)することです。

現在、同社の売上高に占めるBPOの割合はたった2%ですが、
今後数年間で、この比率を5-10%まで引き上げたい、とのことです。
BPOの需要は今後、世界的に大きく伸びることが予想されており、
インドのIT御三家、タタ、インフォシス、ウィプロも
この分野に非常に注目しているようです。

BPOの対象となる業務は、
人事部の給与支払い、人事管理、
総務部の福利厚生、不動産管理、
経理部の経理業務などです。
要は「誰にでもできる仕事は外部にアウトソーシングし、
社員には社員にしかできないコアの仕事に注力させる」
ということです。

欧米企業では英語を話せる人が多い
インドのIT企業を委託先としたBPOが
もう常識となっているようですが、
日本企業のBPOは大連、北京、上海などの
日本語人材を豊富に揃えたIT企業を受託先として
始まったばかり、という状態のようです。

今までは日本企業の
中国への工場移転や生産委託などにより、
日本の多くのブルーカラーの人たちの職が
奪われてきましたが、
今後はBPOを導入する日本企業の増加に伴い、
ホワイトカラーの人たちの職までもが、
中国に奪われるようになることが予想されます。

毎日500円のランチを食べている日本人が、
50円のランチを食べている
中国の人たちに仕事を取られたくなかったら、
中国人の10倍の付加価値を生む仕事をするか、
食べるランチの値段を1/10にするか、
どちらかを選ばなければならないのです。


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2007年10月17日(水)

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