第777回
有名大学のニセ卒業証書

中国では大学進学率の上昇により、
「大卒」の価値はどんどん低下しているのですが、
有名大学に関しては、その限りではないようです。

このため、中国の親たちは
自分の子供を有名大学に入れるため、
小学生の頃から外で遊ぶ暇もないほど勉強させるようです。

中国の小学生は、毎日山ほど出る学校の宿題と、
「補習班(ぶーしーばん)」と呼ばれる学校主催の
補習塾での勉強をするだけでもたいへんだと思うのですが、
先日、上海市の教育委員会が行った
家庭内教育実態調査によれば、
小学生の7割が宿題と補習塾のほかに、
父母が独自に与えた学習課題をこなしているのだそうです。

こうした状況は、日本の高度経済成長期の
「受験地獄」とか「受験戦争」などと呼ばれた
進学競争の過熱を彷彿とさせますが、
やはり、高度経済成長で衣食住が充実すると、
次におカネを使うのは子供の教育である、
というのは、日本も中国も同じであるようです。

「有名大学の卒業証書が豊かな生活へのパスポートになる」
ということになると、必ず出てくるのが勉強をしないで、
そのパスポートだけを手に入れようとする人たちです。

当社のオフィスの近くでも、数年前までは、
ひとりごとのように「卒業証、北大清華
(びーいえぢょん、べいだーちんほあ、
卒業証書、北京大学清華大学)」と言って歩いている
ニセ卒業証書売りのおじさんがいました。

勉強をしたくない人や、有名大学に入れない人は、
おじさんからニセ卒業証書を買って、
採用試験の資料として企業に提出するのです。

最近はさすがに、企業が人材の採用に当たって、
大学に在籍確認をするようになったらしく、
ニセ卒業証書売りは商売上がったり、
件のおじさんも見かけなくなってしまいましたが、
この辺の会社で働いている人の中にも、
実はおじさんのニセ卒業証書でまんまと就職して、
北京大学卒、清華大学卒のエリートで通している人が、
結構いるのではないでしょうか。


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2007年10月10日(水)

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