第745回
「国が愚か者に課した税金」

日本では「サマージャンボ宝くじ」の発売が
開始されていることと思います。
巷では当たりやすい宝くじ売り場から、
当たりやすい人の星座、血液型まで、
さまざまな情報が飛び交っているのではないでしょうか。

しかし、先日の「hiQ編集部から」で
Mさんが書かれていたように、
宝くじというのは非常に割の悪いギャンブルです。
胴元の取り分、いわゆる控除率が53%にも上るそうです。

これは1ユニット1,000万枚全部を30億円で買い占めても、
14億円強しか戻ってこない、ということですから、
宝くじが「国が愚か者に課した税金」と呼ばれるのも
無理もないことです。

ここ中国にも宝くじはあります。
宝くじは中国では
「彩票(つぁいぴゃお)」と呼ばれています。

北京の街にもそこら中に「彩票」売り場があるのですが、
実際に買っている人を見たことがありません。
中国人の友人と話をしていても、
「彩票」は話題に上ることすらありません。
この辺は利に聡い中国の人たち、
「彩票」の割の悪さを
直感的に見切っているのかもしれません。

しかし、「邯鄲の夢」で有名な河北省邯鄲市に
「彩票」の割の悪さを見切れなかった人が2人いました。

その2人とは邯鄲農業銀行の金庫保管係、任暁峰と馬向景。
この2人は銀行の金庫保管係という立場を利用して、
金庫の中の現金5,100万元(8億2,000万円)を持ち出し
その大部分を「彩票」に「投資」しました。
しかし、買った「彩票」はほとんど当たらず、
返すあてがなくなって逃亡したところを先日逮捕されました。

2人は最初、5万元(80万円)を
金庫から持ち出して「彩票」を買い、
当たったら元手は金庫に
戻すつもりだったらしいのですが
全く当たりませんでした。
その後、「購入金額が大きいほど当たる確率も高い」
と考えた2人は、損を取り戻すべく
どんどん購入金額を増やしたのですが、
最後に買った
1,410万元(2億3,000万円)分の「彩票」は、
何と恐ろしいことに1枚も当たらなかったそうです。

控除率が低い株やバカラでも十分に危ないのに、
よりによって最も割の悪い「彩票」で勝負に出るとは...。

この2人も、呂翁の枕で眠った後の廬生のように、
コツコツと真面目に銀行員を続けていれば
堅実な人生を送れたものを、
そのやまっけ強さと愚かさが故に、
牢屋の中で一生醒めない
「邯鄲の夢」を見続けることになるのです。


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2007年7月27日(金)

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