第698回
北京で雇ってはいけない人
前回、恵まれた環境にある人は、
既得権益にあぐらをかいて、
努力をしなくなってしまう、
というお話しをしました。
中国で会社を経営するに当たって、
こういう既得権益に
あぐらをかいた人を社員として雇うと、
ひどい目に遭うことになります。
まず、その最たるものが、
国家機関や国有企業の出身者です。
彼らは全ての問題を、努力ではなく、
権力や人脈でラクに解決しようとするクセが、
骨の髄まで染み付いてしまっていますので、
まぁ動きは悪いですし、諦めも早いです。
二つ目は北京人(べいじんれん)です。
ここ北京においては、
北京出身の北京人は、
北京以外の場所から来た
外地人(わいでぃーれん)に比べて、
大学入試の点数が甘くなるなど、
様々な面で優遇されています。
このため、北京人は外地人を
二等市民扱いする傾向があり、
中には「北京で発生する犯罪は、全て外地人の仕業だ」
などと言い切る北京人もいます。
三つ目は漢民族です。
北京には漢民族のほかに、
朝鮮族、モンゴル族、イスラム族など
様々な少数民族が住んでいます。
中国では少数民族を差別することは
厳しく禁止されており、
国家はむしろ、子供を2人生むことを許すなど、
少数民族を優遇する政策を打ち出しています。
しかし、国民の圧倒的多数を占める漢民族が、
少数民族に対して優越意識を持っていることは
否めない事実です。
四つ目は男性です。
中国は日本よりは男女平等な国ですが、
それでもやはり、国家の指導者や企業のトップには
男性が多いのが現状です。
かの毛主席が「婦女能頂半辺天
(ふーにゅぃーのんでぃんばんびぇんてぃえん、
女性は天の半分を支える)」
とのたまった中国でさえも
仕事をするに当たっては、
まだまだ女性より男性のほうが
有利な環境にあると言えそうです。
そして、五つ目は学歴。
中国の大学進学率は上がって来ているとはいえ
未だ20%前後。
中国では大卒はまだまだエリート、学士様です。
大卒の人は、それだけで高卒以下の人より
高い給料ももらって当然、と考えています。
こうして見ていくと、
既得権益にあぐらをかいているのは、
「大卒の国家機関・国有企業出身者で、
北京人、漢民族の男性」ということになります。
もちろん、個人差はあると思うのですが、
こうした人は「自分は選ばれたエリートなのだから、
努力などしなくても高い報酬をもらって当然」
と考えがちなように思います。
ということは、逆に
「高卒以下の学歴の民間企業出身者で、
外地人、少数民族の女性」
を雇えば、元々の境遇が恵まれていない分、
一生懸命働いてくれるのかもしれません。
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