第687回
北京の吉野家で牛丼を食す
先日、無性に牛丼が食べたくなって、
北京の吉野家(じーいえじゃー)のチェーン店に
行ってきました。
中国の吉野家は中国の牛肉を使っていますので、
アメリカ産牛肉輸入禁止措置で
日本の吉野家が牛丼の販売を休止していた時も、
北京では普通に牛丼を食べることができました。
このため、その時期に日本から来たお客さんに、
「お昼は飲茶にでもしますか?」と訊いたところ、
「いや、吉野家で牛丼が食べたいです」
と言われてビックリしたことがあります。
毎日食べるのはいやですが、
しばらく食べないと無性に食べたくなるんですな、
牛丼という食べ物は...。
北京の吉野家には、牛丼だけでなく、鶏の照り焼き丼や、
牛丼と鶏の照り焼き丼のコンボなどがあります。
吉野家としては牛丼一筋で行きたいらしいのですが、
牛丼は「プロレタリア階級」の人たちが食べる、
炒め物をご飯にぶっかけた「ぶっかけ飯」を彷彿とさせるので、
鶏の照り焼き丼も販売することにしたらしいです。
北京の吉野家の牛丼は、普通盛りで16元(240円)。
お昼ごはんとしては、「中産階級」向けの値段設定です。
にも関わらず、見た目が3-4元(45-60円)の
「ぶっかけ飯」に似ているため、
最初は敬遠されたのかもしれません。
その点、鶏の照り焼き丼は、
香港式の茶餐庁(ちゃーつぁんてぃん)の
「焼鵝飯(しゃおあーふぁん、ガチョウのロースト丼)」や、
「海南鶏飯(はいなんじーふぁん、海南風鶏肉丼)」を
思い出させます。
これらの料理は20-25元(300-375円)と、
同じ「中産階級」向けの値段設定ですので、
消費者は鶏の照り焼き丼には、
それなりの価値を見出すのかもしれません。
日本人は小さい頃から
丼物に慣れ親しんでいますので、
全く抵抗はないのですが、
中国の人たちにとっての丼物は、
どうしても「プロレタリア階級」の
「ぶっかけ飯」のイメージが強いため、
いくらおいしくても、
そんなものに何十元(何百円)も払いたくない、
という気持ちが強く働くのではないでしょうか。
吉野家の牛丼も、牛肉だけ別のお皿に盛って、
炒めた野菜なんかちょこっと添えて、
そこにご飯と味噌汁を付けた「牛肉定食」にすれば、
25元(375円)は取れると思うんですがねぇ...。
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