| 第607回人生を変える旅
 私は北京に住んで早や10年。人生の1/4を海外で過ごしていることになりますが、
 初めて海外旅行をしたのは非常に遅く、
 大学3年生、21歳の時でした。
 行き先は返還10年前の香港。大学の「国際貿易研究」というゼミのゼミ旅行で、
 現在、早稲田大学の副学長をされている江夏先生に
 連れて行って頂きました。
 初めて香港に行った私は、そのパワーに圧倒されました。
 ケンカしてるのか、と思うほどの大声で話す人たち。歩いていると「ロレックス?」と声をかけてくるインド人。
 殺人的な蒸し暑さ、街中に充満する生ゴミの臭い。
 歩行者を無視してものすごい勢いで走る車、バス。
 運動神経のない人間を拒むような
 スピードの速い地下鉄のエスカレーター。
 そして、さっきから私のカバンを
 虎視眈々と狙っている目つきの悪い一団。
 生き残るだけでも大変そうなこの街は、東京の郊外でのんびりと育ってきた私に
 大きなカルチャーショックを与え、
 「この人たちと伍していくためには、
 日本の中だけに留まっていたらダメだ」
 という気持ちを強く持たせたのでした。
 その後私は、海外で仕事をするために総合商社に入社し、
 中国で起業することになったわけですが、
 そのルーツは全て、この香港での
 カルチャーショックにあります。
 このゼミ旅行は、まさに
 私の人生を変える旅となりました。
 今の北京や上海には、当時の香港と同じぐらいのパワーがあります。
 日本の若い人たちには、学生のうちに
 是非一度中国に来て頂き、
 中国の今のパワーを感じとったり、
 日本との常識の違いに
 カルチャーショックを受けて頂きたいと思います。
 もしかすると、その一回の旅が、その後の自分の人生を大きく発展させる
 きっかけになるかもしれないのですから...。
 |