第603回
靖国参拝から2週間

小泉首相が靖国神社に参拝してから約2週間。
ここ北京では、反日デモが起こるでもなく、
日本人が狙われるでもなく、ありがたいことに、
ごく普通の平穏な日々が続いています。

中国のテレビや新聞も、
参拝直後は大々的に報道していましたが、その後は、
国家領導(ぐぉじゃーりんだお、国家の指導者)の
本日の活動を伝える、という、
いつものあれに戻っています。
これは、人民をいたずらに刺激して、
治安を乱すことのないよう、
あえてしつこく報道しない、
という中国政府の意図もあるように思われます。

ビジネスの世界でも、
日本製品の不買運動が起こる、とか、
日系企業の従業員がストライキを起こす、
などということもなく、
今回の靖国参拝が中国に進出している
日系企業に与えた直接的な影響は、
ほとんどなかったのではないかと思います。

さて、一方の日本。
日本では、今回の小泉首相の靖国参拝の是非について、
様々な報道がなされ、テレビでは、有識者や一般人が、
賛成派と反対派に分かれて、議論を闘わせました。

この問題に関しては、中国の人たちよりも、
日本人の方がずっと関心が高いように感じられます。

中国の人たちは、マイクを向けられて改めて、
「日本の小泉首相が靖国神社に参拝しましたが、
どう思いますか?」と訊かれれば、
「中国人民の感情を踏みにじる暴挙だ」とか、
「世界正義に対する挑戦であり許せない」などと答えますが、
ほとんどの人にとっては、普段の日常生活において、
靖国問題や日中関係など全く頭の中になく、
興味の対象は専ら「いかに収入を増やして、
豊かな生活を手に入れるか」にあるように思います。

中国政府としても、
国民の関心が日々の営みに向けられていれば、
国内の治安は安定し、
共産党一党独裁体制も安泰ですので、
寝た子を起こすようなことはやめてほしい、
と考えているのではないでしょうか。


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2006年8月30日(水)

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